学校でも塾でも、先生に質問した経験は誰にでもあるはず。
自力で考えても辞書や参考書で調べてもわからなかったモノを、親身に丁寧に教えてくれる先生の存在は大きいよね。今回は、
- ①「私が生徒だった時に先生へ投げかけた英語の疑問」
- ②「私が先生となって生徒から投げかけられた英語の疑問」
を一つずつ記載したい。
①「because」の後ろはSVかdoingか
これは「私が生徒だった時に先生へ投げかけた英語の疑問」。
当時私が通っていた予備校の、読解系の授業のときだった。
「because」と「because of」の識別をしていた時のこと。
授業の展開を考えたら、きっとその時のS先生は
『両方とも意味は同じだけれど、becauseは接続詞だからSVのある副詞節となり、because ofはofが前置詞だから名詞であるdoing(動名詞)を伴う副詞句となる』
的な流れにしたかったのだろう。
- because + S'V'~
- because of + doing(動名詞)
なるほど確かに大事な文法ですわな。
しかし、好奇心旺盛な当時高校生のわたしは、必ずしもこれが成り立たない場合があることを考えていた。
...分詞構文のときは例外じゃね?
副詞節中の省略の可能性
まず「接続詞+doing」で思いついたのは、「時」「条件」「譲歩」などの副詞節中での、主語とbe動詞の省略。
そのとき高校の授業で勉強したばかりだったので笑
1.I had my passport stolen while I was traveling in Italy last year.
主節の主語と一致して、wasというbe動詞なので、
2.I had my passport stolen while traveling in Italy last year.
という形で省略可。
ただ、becauseは「理由」だし、Forest*1をはじめ私が持っていた文法書や参考書で「省略」の項目にbecasueがみられなかったので、この可能性を諦めた記憶がある。
分詞構文の可能性
どういうことかと言うと、
分詞構文は接続詞や主語が省略される「曖昧な表現」なので、意味をはっきりさせたいケースでは本来不要な接続詞を分詞の前につけることがある。
具体的に考えよう。
1.Finishing his homework, he went ot of the room.
という分詞構文の文がある。
これは、
2. As he finished his homework, he went ot of the room.
「宿題を終えたので、~」(理由)の可能性もあれば、
3.After he finished his homework, he went ot of the room.
「宿題を終えた後、~」(時)の可能性もある。探せばもっとあるかもしれない。
そんな分詞構文の意味をはっきりさせておきたい場合は、
4.As finishing his homework, he went ot of the room.
のように、分詞の前に接続詞を置くことがある。
不定詞to doもたくさん用法がある中で、in order を添えると
in order to do「~するために」(目的)
という副詞的用法の「目的」用法だと明確化されるようにね。
...さてそうすると、4の文のように「接続詞+doing」が考えられる。
自力で腑に落ちなかったのが、理由では「as」が用いられる場合が圧倒的で、「because」が用いられなかったこと。
念のため「理由」を表す接続詞because, since, asもこの際に調べて、
- because:新情報・意外性のある明確な理由。文頭に来るのは稀。
- since:既知の旧情報・既にわかっている理由。文頭が多い。「~以来」も。
- as:同等・同一のイメージを伴った理由。sinceに近め。
という自分のできる調べ物・勉強成果を携えて、予備校の講師室に質問しに行った*2。
質問したら先生はめちゃくちゃ一緒に考えてくれた
質問の要点は、
- 接続詞becauseもdoingを伴えるのではないか
- 理由は(上記に挙げたような)分詞構文の文法から
- 2が不可なら、asを用いるのが多くてbecauseが用いられないのはなぜか
質問したら先生が驚いてくれたので、それは純粋に嬉しかった。
授業では教える/教わるの上下関係性が、この質問を投げかけた瞬間は共に学ぶ同じ立場の人間に感じられたしね~。
そしてまた、「because」だけに留まらず、「as」や「since」というほかの接続詞を調べたこと、「前置詞と接続詞の識別」という授業のテーマから派生して自分で考え「省略」「分詞構文」にまで手をのばして勉強したことも褒めてくれた。
そして先生は分詞構文の持つ簡略化・曖昧性という特質から、asが好まれることを教えてくれた。
②同格のthatと名詞の冠詞
そしてこれは「私が先生となって生徒から投げかけられた英語の疑問」。
現在進行形で一緒に考えている問題でござる。どう説明すれば納得してもらえるか考えながら、自分の研鑽を兼ねて調べている。
※ご存知なこと、間違っていることがあれば、是非とも知りたいのでコメント欄やDMで私に教えてくださいm(_ _)m
ことの発端はこの4択問題。
( ) that Professor Mercury works 16 hours a day.
1,It is rumoring 2,Rumor has 3,Rumor has it 4,Rumor is believed
正解は3。句他動詞(成句)のhave itを知っていれば、sayと置換して考える無生物主語の問題だと主題者の意図がわかる。
質問を受けたのは、「なぜ4はダメなのですか?」というもの。
さあ、考えよう!
4を入れた生徒のうち、3を知らなかった生徒は4を正解と見做す理由があるはず。
一応他校舎の同僚に訊いてみたら、「受動態なのに目的語があるからダメじゃん」とのこと。
...本当にそうかぁ?
絶対4を選んだ生徒が一定数いるでしょ。私の担当生徒だけの質問ではないと思うのだけど...
生徒の立場に立って、実際に4を空所に入れて考えよう。
Rumor is believed that Professor Mercury works 16 hours a day.
thatを同格のthatと考えると、Rumorの直後に置くと主語が冗長なため、後ろにまわされたと考えられないか。
Rumor is believed that Professor Mercury works 16 hours a day.
Rumor that Professor Mercury works 16 hours a day is believed.
↑こーゆーことなら、生徒が4を選ぶ理由としては首肯できてしまう。
これが文法的に不適となるかチェックするために、私は
- 同格のthat節は名詞と離れて用いられるのか
- 同格thatを伴う名詞に冠詞は要るのか
を現在調べている。
前者については、
The idea is not always true that the more wealthy you become,the happier you are.
という文の存在等から、問題ないと考えられる。
後者は調べている最中だが、調べる例文が悉(ことごと)く冠詞を伴う名詞である!
There's a rumor that the country has nuclear weapons.(webio)
→「無冠詞、冠詞の省略パターン」の学習に派生しそうだ。
引き続き調べます。
横断的な派生勉強をしよう
この記事を書いたきっかけはタイトル通りで、
・生徒を育てつつ、自分も生徒に育てられているなぁ
・横断的に広く学習すると世界広がるなぁ
と最近感じたから。
Rumor has it that~の4択問題で受けた生徒の質問が、かつての自分とシンクロしてしまったのでこの経験を書きたくなった。
そして文字に起こして読み返してみると、becauseの話から分詞構文を調べたり、無生物主語の設問から冠詞を調べようとしていたりする笑
無意識に思いがけないところまで調べる手を広げて派生させ、それが自分の世界を広げていることを意識化・明文化しておきたかっただけ。
※繰り返しになりますが、ご存知なこと・間違っていること等あれば、是非とも知りたいのでコメント欄やDMで私に教えてくださいm(_ _)m