未完結ブログ

「カテゴリー」からお好きな記事へどうぞ。

アニメ:安藤愛莉『2014年8月31日日曜日午前6時45分』感想と視聴のススメ

仕事で辛いことがあったら、ノスタルジーに浸れるような画像やシネマグラフGIFを集めて見ています。

疲弊したカラダが自然と癒しを求めているのかな?自愛しなきゃ...

さて、画像やら何やらを集めていたら、こんな作品に出会いました。

タイトル「2014年8月31日日曜日午前6時45分

f:id:mikanketsu:20190407142359p:plain

www.youtube.com

あらすじと概要

制作者:安藤愛莉

武蔵野美術大学 造形学部 視覚伝達デザイン学科 2013年年度卒業

世界観・舞台設定は「タブレットに残っている、最後の新聞配達の日の記憶」。

電子化によって新聞配達が終わってしまい、その最後の日がタイトルにある日付、2014年8月31日日曜日です。

以下、制作者のコメントと作品概要。

自分の空想の空間をもとに制作した、約5分間のアニメーション。描いた一枚の絵から、その絵の外の空間、建物の構造へと想像を膨らませました。

朝、タブレット端末で読書する男の家に新聞が投函される。新聞を取ってくるまでの間に、男は奇妙な世界に迷い込む。草花が茂り虫の飛び交う空間。庭園は図書館の廊下へ繋がる。廊下を進んだ先には、カプセルに入れられた植物、古びた自動掃除機やスマートフォン。そのとき、その手にある新聞はぼろぼろのタブレット端末に姿を変える。

実はここは未来であり、男にとっての現在の景色。前半の現実味のある世界は遥か昔、2014年8月31日日曜日午前6時45分前後、過去の遺物であるタブレット端末に残された記憶だ。電子化が進み紙が消えようとしている時。最後の新聞配達の日だった。その時代では宇宙での植物栽培を試みているが、今は宇宙から草木の減った地球へ植物を送る時代。社会は宇宙に築かれている。しかし生活はデジタルからアナログに戻り、人は紙の本を読み、鉛筆で字を書く。

人々は躍起になって植物を育て、地球に還ることを夢見ている。

背景画の魅力がすごい

どうやら安藤さんは在学時からアニメーションの背景画家を志望していたようです*1

明確な目標があると、努力を向ける方向性が定まって、パフォーマンスの効果を最大限にしてくれるので素晴らしいですね。

自分の夢(というより目標)が自分のやりたいことであること、その実現のための努力や切磋琢磨の成果がこの卒業制作作品に反映されていることが読み取れる気がします。

制作過程として一枚の絵から構想を膨らませているので、当然どのシーンで静止させても一枚の「絵」としても魅力的です。

例えばこんな感じ。

f:id:mikanketsu:20190407131145p:plain

3:30付近

 

f:id:mikanketsu:20190407131531p:plain

2:57付近

 ふつくしい...

ただ「綺麗に描けている絵だな」という感想に留まらず、この絵の中の世界に行ってみたいと思わせる魅力があります。

どこか懐かしさを感じさせるノスタルジックな雰囲気と、現実離れしたファンタジー性が調和しており、私は大変堪能させていただきました。

アニメーションの世界観

では、この作品の魅力の源泉でもあるノスタルジー(郷愁)とファンタジー(幻想)はどこから生まれているのか?

それに対する答えとして、絵を描くにあたっての安藤さんの空想と世界観設定ではなかろうか

という結論に至った次第ですので、ちょっと詳しく書いてみます。

ノスタルジー(郷愁)の側面

新聞配達が終わり、電子化されるというということは、

アナログ→デジタル

の移り変わりです。

ところが、このアニメーションのアナログ→デジタルの変遷の境界線である2014年8月31日日曜日は、「記憶」でした。

実際の社会は宇宙に築かれていて、宇宙空間での植物栽培を試みています。

さらに、草木の減った地球に植物を送ることまでしてしまっている!

最後のシーンをよ~~く見ると、古くなったタブレットを置いた後、紙の本を本棚から選ぼうとしているのが分かります。

f:id:mikanketsu:20190407134522p:plain

本棚から本を物色する姿。4:25付近。

デジタル→アナログ

に再び回帰するこの世界観の設定が、アナログを懐かしむ郷愁的な雰囲気を醸成しているのではないでしょうか。

ファンタジー(幻想)の側面

 そもそもノスタルジーとファンタジーの親和性は高いです。

王道で郷愁のみを感じられる例としては、「夏の入道雲」「駄菓子屋と路地裏」がモチーフの絵ですね。

f:id:mikanketsu:20181128183019j:plain

夏の入道雲。谷田部透湖「木の葉化石の夏」より。

夏の入道雲や駄菓子屋の路地、夏祭りの風景などは、現実で見ようと思えば見られるものです。

ただそれらは、子どもの頃の記憶が想起されて郷愁を感じさせるトリガーとなっているわけですよ!

 

一方で、非現実的、幻想的でも郷愁を感じてしまう絵もあります。

あり得そうであり得ない。

そしてどこか心惹かれてしまう。

ちょっと胸が縮こまって「あぁ...」って気持ちになるような絵です。

 

安藤さんの作品はまさに、自身の空想から構想を広げたことで、「あり得そうであり得ない魅力ある世界観」が体現されています。

全体感想・参考URLなど

YouTubeの再生回数は、2019年4月7日(日)現在で4,388回再生でした。

もっと伸びても良いかなと思います。

ちょっと調べると、この作品は

INTERNATIONAL STUDENTS CREATIVE AWARD 2014に入賞していることがわかりました。

宝石の国の美術・美術監督で安藤愛莉さんのお名前がヒットしましたが、これはもしやご本人!?

 

もし本人であれば、夢の実現が着実に叶っていますね。

【高校英語】「自動詞と他動詞」の授業で生徒にどのようなノートをとらせるか

表題の通り、

「自動詞と他動詞」の授業で生徒にどのようなノートをとらせるか

という文章を塾講師が書いてみたでござる。

ブログに晒して残しておくことで、今後の私の改善点が見つかりそうだし、改善の変遷も辿(たど)れるし。

ノートに残させる注意点3つとその意図

「自動詞・他動詞」に限らず、私が意識しているのは

  1. 視覚的に印象に残るノート
  2. 復習で見返しやすいノート
  3. 必要な情報"のみ"の簡潔なノート

という3点。

それぞれの意図も記しておきます

1:視覚的に印象に残るノート

初回授業で納得感をもって欲しい!...からに尽きます。

文字ばっかりだと小難しさや勉強の息苦しさを感じさせてしまうし。

参考書の文章をなぞるだけなら授業や黒板を使う意味が無くなってしまうので、絵心がない私でも私なりに図や表、イラストを用いるように心がけています。

「比較」の授業なんかは特に、私がお会いしたことのある講師の方々はもれなく絵を用いていました

「わかりにくい」「覚えにくい」と感じさせてしまったら、その生徒は他の塾や予備校に行ってしまうし、何より自分が悔しいもん。

「あ、そういうことなんだ~」って感じてくれる納得感のための視覚的印象。

2:復習で見返しやすいノート

「自動詞・他動詞」で考えてみると、

 

●高校1年生は一番最初の「前期中間試験」の範囲である可能性があります。

「自動詞と他動詞」自体は扱われなくても、「5文型」の一部としてなら定期テストの対策という意味でも有効かな? 中間試験で出なくても期末試験で出そう*1

●また、「自動詞・他動詞」は関係詞の識別の際、完全文か不完全文かの判定で必要になる知識でもあるのだよ~。

●そもそも、自動詞と他動詞の言い換え表現は、ストレートに大学入試で問われる基礎頻出事項だし...

 

 等々今後必ず複数回見返すハメになるので、見返しやすさは重要。

3:必要な情報"のみ"の簡潔なノート

講師なので知識は当然生徒より持っているから、伝えようと思えば伝えたいこと/伝えられることはたくさんあります。

でも、一気に知識を詰め込みすぎると、生徒の頭はパンクしちゃう。

どれが重要でどれがオマケ情報かを識別する術(すべ)がない生徒にそれは酷。

たとえそれがいずれ生徒が必要になる内容でも、今回の授業にその知識は必要かどうかは考えなくてはなりません。

例えば、「時・条件の副詞節の中では、未来の内容でも現在時制」という時制の頻出ルールがあります。

きっと初見の生徒はwhen節・if節の「名詞節 or 副詞節の識別」でもハードなはず。

そこへ「これは単純未来のときだけで意思未来ならwill使えるときありまっせ~」と教えたら絶対混乱しちゃうもん。

授業の一貫性という意味でも、生徒の復習のしやすさという意味でも、簡潔さは保つよう心がけております。 

自動詞・他動詞の位置づけ

あくまで私がもし授業をするとしたらの「自動詞・他動詞」の位置づけ。

①②と③④⑤を分かつのが自動詞・他動詞ではあるけども、「5文型」の授業のうちので「自動詞・他動詞」の識別や言い換え表現の学習が担うのは①第1文型と③第3文型だと考えています。

f:id:mikanketsu:20190324162823p:plain

よく目にする図ですよね~。どんな文型の文章にもSVがあることを確認できます。その上で「後ろにOが来るor来ない」が自動詞・他動詞の違いだ、ということを教えるのに使いやすいです。

というのも、第2文型はそれだけで独立した授業をする価値があります。

「remain」とか「seem」や「appear」とかですね~。

入試で問われやすいものの数が限られているので(中堅私大なら知っておくべき動詞は20個弱くらいかな?)、覚えるべきだし授業で扱うべきです。

第4文型と第5文型は言わずもがな複雑なことが多いので、大多数の塾や予備校では、めいっぱいの時間を割くことでしょう。

そうすると、第1文型と第3文型はストレートに自動詞と他動詞の識別が必要であることや、第3文型をとる動詞の数の多さを鑑みると、①第1文型SVと③第3文型SVOを一緒に扱うのは妥当かなという認識です。

では導入から...

自動詞と他動詞に興味を持ってもらうための1~2分の話。

色々な講師が、自分で考えたり、師匠や先輩から受け継いでいる十八番があるはず。

 I run in the shop.「私は店の中で走る*2

 I run the shop. 「私は店を経営する。」

 

それぞれの単語は知っているはずなのに「in」の有無で「run」の意味が変わることを伝えています。

同時に、「自動詞・他動詞」がなぜ大切なのかという授業の意図も伝達します。

これは5文型の識別をさせる授業の導入でも使えるので、私はリサイクルしています♪

今思えば誰から教わったんだっけ?

この導入はノートに取らせなくてもよいと思ってます。

が、視認させるために板書する必要はあります。

唐突にコレを生徒に問うたら、知っている子はニヤッと笑うし、知らない子はボードと講師に注目してくれます。

パズルとしてノートに残す方法

表題にある「自動詞と他動詞」の授業で生徒が頭に入れるべき両者の情報は、

自動詞

  • 直接、目的語をとることができない
  • 目的語がなくても文が成立する
  • 後ろに前置詞をつけると、目的語をとることができる

他動詞

  • 直接、目的語をとることができる
  • 目的語がないと文が成立しない
  • 後ろに前置詞をつけることができない

という違いだと設定します。

これをそのまま生徒にノートさせたりプリントとして渡したりして、

「覚えておいてね~」は、よっぽどの生徒でないと通用しません。

この情報をいかに

  1. 視覚的に印象に残るノート
  2. 復習で見返しやすいノート
  3. 必要な情報"のみ"の簡潔なノート

の3つを満たす形にするかを考える/探す作業が必要です。

 

「自動詞 他動詞」

で検索すると、YouTubeの教育系・英語系の映像解説動画や、めぼしいブログがヒットします。

視覚的に参考にできそうな図を考案している人を探すには、画像検索もよさそうです。

それでもピンとこなければ、本業(同業者)の方の授業や著作物を拝見していきます。

 

以下は、安河内哲也先生*3のものを大幅に参考にしたものです。

「自動詞他動詞」の単元では、私はこれが一番分かりやすかったです。

模索している最中、むしろ視覚化している人の少なさに驚きました

きっとそれほど難しいことなんだなぁ~

コレの良いところはパズルという身近なものを用いることで、視覚的に印象に残ることです。

いくつか例題で演習して生徒が法則性に気付いてきたら、以下のような図を要点のまとめとしてノートに残させます。

f:id:mikanketsu:20190324172019p:plain

自動詞・他動詞の説明で、生徒のノートに残させておくパズルのイメージ図
  • 他動詞はSとOを直接結べるピースである
  • 自動詞はOと直接結べない
  • 自動詞とOを結ぶためには、前置詞というピースの力が必要

ということが視覚的に分かるのです。

そして、私なりに教える側としても副産物がありました。

パズルで自動詞・他動詞のノートを用いる副産物

結論から言うと私が思う副産物は主に2つです。

  • 授業のハードルを下げてくれる
  • 熟語の役割を伝えられる
授業のハードルを下げてくれる

よくありがちな文章を使います。

We discussed the matter.

We talked about the matter.

訳はほとんど同じです。

自動詞を用いた表現と他動詞の言い換え表現のお手本のような例文ですね。

f:id:mikanketsu:20190324172124p:plain

言い換え表現を伝えるとき、SとOをつなぐために「左が凹・右が凸」の形をつくるんだよ、ということを伝えると、演習する意図に具体性と親密性が生まれるので、イメージしやすくなります。

「自動詞を用いた表現と他動詞の言い換えを覚える」

と考えながら作業のような授業を受けるよりも、

「SとOをつなげるパズルのピースの使い方をマスターする」

と考えたほうが、多少勉強の息苦しさが紛れませんかねぇ...(私だけかな?)

 熟語の役割を伝えられる

高1生の授業で活用できた例です。

He depends on his parents.

という文の文型を振るときに、生徒によって意見が分かれました。

A:He depends (on his parents).

       S                    V

B:He depends on his parents.

       S                    V                                         O

Aの場合:第1文型

きっと授業をしっかりきいてくれていた生徒です。「depend」は自動詞なので何の問題もありません。

Bの場合:第3文型

「depend on」という熟語を知っていました。知っていたが故に"ひとかたまり"と見做し、「depends on」をV、「his parents」をOとしました。私も文章を読む際はどちらかというとこのタイプのような認識で読んでいます。

SとOをつげるという働きにおいて、「自動詞+前置詞」は「他動詞」と同じだった旨のフォローを入れられますし、むしろ熟語を知っていたことを褒めてあげられます

ここでパズルの布石を打っておくことで、授業に一貫性が生まれました。

例外事項・複雑な事項を後出ししてしまうことで生じる、英語が苦手な生徒を混乱させるリスクを回避できます。

一度学習した内容の復習・確認として処理ができたので、違和感なく「あーそうだった、そうだった」と生徒が思い出してくれる流れを作れました。

ちょっと懸念事項

●S+V+[名詞]の形だと、「②第2文型SVC」と「③第3文型SVO」の可能性があるので、

Vの後ろの[名詞]の有無で教えてしまわないようにしています。

「自動詞・他動詞」を扱う前に、文型を振る練習をして「S=C」と「S≠O」の識別方法を授業で扱ってから取り組むと良いですね。

 

●よくありがちな、「~を」を用いる説明は入れておりません。英語の前置詞に日本語の助詞をあてはめる考えは、紛らわしいものが多いと私が感じているからです。

 

「授業」は上手い人の上手い授業から吸収しよう:ノートと板書の大切さ

「上手い人の上手い授業から吸収する*4」というのを私は心がけています。

大手SKY予備校はもちろん、映像・個別・集団など様々な形態の塾・予備校に所属している講師の先生方の教え方を学ぶと、得るものは大きいです。

韓国のTOEIC講師など、非英語圏の外国人講師の英語の授業も面白いっすよ。

ポイントは「上手い人の上手い授業」であること。

全てが完璧な講師/先生は残念ながらいません。

「英作文といったら〇〇先生」「読解は△△先生がわかりやすい」「★★先生の仮定法の授業はスゲーわかりやすい!」「◆◆先生は親身で優しいし板書見やすいよね」

誰しもに突出している得意分野があります。

凄い人のさらに凄い部分、真似したい要素を吸収して自分のものにすれば、

 

  • 講師としての自分の市場価値が上がる
  • 生徒の成績向上や志望校合格に貢献できる
  • 質の高い教育を目指すことで間接的に日本の将来に貢献できる

 

のです。

蛇足ですが、英語学や英米文学を専攻されている大学の教授先生のつぶやきも興味深く吸収し、自分の至らなさと伸び代を認識しながら楽しんでいます。

最近ではYouTubeにも、ものすご~~くわかりやすい動画が転がっているのでバリバリ参考にしています*5

その「授業」の中には、教える内容の整合性(ストーリー性)やカリスマ性、口調やキャラクターの演じ方など様々あるけれども、板書もそのうちの一つ。

板書=生徒が復習するノートです。

 私の場合は、思いつきでテキトーな板書をしないというmyルールがあります。

ナナメの文字や、歪んだ線の板書では、自信を持って商品として授業できません。

じゃあ綺麗に書けば良いのかというと、それだけではないのが難しくも楽しいところ。

教科書や参考書の内容で全員が理解できるなら、読み合わせで良いし、色マーカーを引かせれば済む話です。

その内容をさらに噛み砕き、必要な情報が簡潔に一目でわかるものが理想です。

...はい、私も偉そうなことは言えません。引き続き精進して参ります。

 

同業者、新しく塾講師になることを考えている人、高校生が万が一見ていたら、参考にするなり反面教師にするなりでご活用いただけると幸いです。

*1:ただね~、意識の高い新高1生以外は、まーーーったく中間試験を考えていません。新生活で手一杯な状況で、期待と不安を胸に抱いて青春しているのですよ!!!

*2:冷静に考えると店の中で走るって状況はおかしいね。でもツッコミどころがあると生徒が反応してくれるので良しとしています。

*3:おそらくこのようなパズル見覚えある人もいるのでは?安河内先生の場合はSVの結びつきの強さを表すような形状のピースだったり、第4文型と第5文型は特殊な形状のピースを用いていたりします。

*4:そのまんまコピペしたような内容や、他人の著作物をそのまま用いるのは所謂剽窃的で良くありません。というか完コピするなら、元ネタの人の授業の方がクオリティ高いから負けます。だからこそオリジナリティや自分なりの構成を元に参考とする「自分らしさ」が必要です。

*5:だからこそ塾の講師は日々研鑽しなければいけないし、課題管理や学習環境の整備で差別化を図って付加価値を創造していかねばならないのさ...。

東大合格発表日に出勤した塾講師が感じたこと【E判定でも合格するしA判定でも落ちる】

「直前の模試がE判定でも受かるヤツもいれば、A判定でも落ちるヤツもいる」

要するに、勝負は最後までどう転ぶかわからないのだな、ということを改めて感じただけ。

 お仕事してきたよ。

2019年3月10日は東大の合格発表日だった*1

日曜日だけれども、この日は高校生を指導している教育関係者なら忙しい日。

予備校や学習塾の講師ならびに職員は実績集計などで終日稼働する。

塾・予備校や高校の先生の中には当然、当日直接生徒から合否結果の連絡をもらった人もいるはず。

発表時間は12:00なのだが、時間前にはやはりソワソワしちゃうものだ。

「今年は何人受かるだろうか?」

「自分の母校から今年も東大はでるかな?」

「アイツは果たして合格してるのか?」etc...

 

合否確認を発表と同時にスムーズに行うためには、当然2次試験受験者の一覧を手元に置いておく必要がある。

いや~、一覧表は個人情報満載だから、トイレに置き忘れようものならクビが飛んじゃう!

取り扱い注意!

その一覧表には受験番号や氏名の他に「出身高校」「非卒/既卒」、直前の模試の判定による「見込み」等々が載っていた。

仕事を終えて、合否結果が判明した時点でシュレッダーにかけるのだが、合否を反映させた一覧表から得られる情報がやはり貴重だったので、暫く眺めていた。

感想を忘れないうちにメモっておく。

感じたこと1:既卒が強い

いわゆる浪人生。

1次のセンター足切りを突破している浪人生は、少なくとも東大を受験する覚悟がある者たちで、闘う上での最低限の実力を有しているから当然と言えば当然か。

「なんちゃって東大受験浪人生」は1次で足切りを食らうだろうし、現役生よりも多く準備期間を確保しているのだから。

さて、大学入試は現在過渡期真っ只中であるから、いつまでも浪人はしていられない。

だからこそ首都圏の中堅私大が難化している。

それでも第一志望を諦めない浪人生や、カリキュラムを早期に終了させている中高一貫校の受験生を薙ぎ倒さなければ、公立高校から現役では合格は難しい。

そんな当たり前のことが、見事に一覧表の紙面で確認できた。

感じたこと2:E判定でも合格するしA判定でも落ちる

判定はあくまでも判定にすぎないということを感じさせた。

E判定やD判定の子が合格していて、A判定やB判定の子が落ちているのよ!

出身高校はみんな名門。

私立なら開成、麻布、浅野、西大和、渋幕etcだし、公立なら浦和、横浜翠嵐、都立西etc。

書き切れないくらい多くの有名な学校。

受験者一覧表では高校名という「ブランド」、「高校入学時の偏差値」という色眼鏡で見がちだけれど、大学入試までは入学から3年も経っているわけで、そりゃ参考にはなるけど、参考にしかならないわな。

東大入試は受験者一人ひとりの実力による勝負である。

あくまで最後に受けた模試の問題での偏差値と判定であって、本番一発勝負だからこそA判定でも油断は禁物だし、慢心はしてはならない。

直前までに油断せず、どこまで自分を追い込んでストイックに対策を継続出来たかが分かれ目じゃないかな。

勉強に没頭できるかどうか

東大だけに限らず、模試でE判定でも第一志望校に合格するヤツには普段の学習の様子に共通点がある気がする。

だからこそ講師は、担当する子が「その状態」に近づけるようにしているのかもしれない。

「その状態」というものを頑張ってわかりやすい言葉にしてみよう!

=勉強に没頭できる/している状態

=進学を自分事と捉え、受験勉強に当事者意識がある状態

=現状に適度な危機感を持ち、克服のために逆算して学習計画をしている状態

かな~。

月並みな言葉だと、「毎日机に向かう習慣」などと言い換えができそう。

「継続は力なり」とはよく言ったもので、ブログだろうが勉強だろうが恋愛だろうが、継続することはもの凄く難しいし、努力なしでは継続できない。

ここぞという場面では当然努力し、何でもない普段の日常でも努力を続け、誘惑が多くても負けず、苦しくても当たり前のように勉強するという高い水準の維持が、志望校合格に肝要であるはず。

「当事者意識」も大事かも。

「親が言っているし、なんとなく国公立目指します」系の子は、自分のために頑張る意識が低いから、部活や学校行事にのめり込みすぎてしまうキライがある*2

高校生は大人と子どもの境界線上の存在だから、当事者意識を養いつつ自分のために楽しみながら勉強に没頭できるようにシフトして成長したいね。

*1:京大や横市も発表日だったけどね。

*2:両立して楽しむべきだけど、比重を考えようね、という話。

【世界は誰かの仕事で出来ている。】鈴木春香「KUROKO」+Santiago Grasso「EL EMPLEO」:感想と視聴のススメ【発掘シリーズ】

「世界は誰かの仕事で出来ている。」という話

山田孝之さんが出演している「ジョージア」という缶コーヒーのCMは有名だ。

その中でも「つながっている」編のCMは構成が簡潔に練られていて、私のお気に入り。

きっと誰もが一度は目にしたことがあるはず。

www.youtube.com

「世界は誰かの仕事で出来ている。」というキャッチフレーズは、大人になればなるほど沁みてくる秀逸なコピーだ。

当然私たちの多くは、この資本主義社会を生きていくにあたって「労働者」であり、

また同時に製品やサービスの恩恵に与(あずか)る「消費者」でもある。

「労働者」であり「消費者」である個々人の集合によってこの世界は出来ている。

そんな、当たり前だけど気付きにくい日常を、アニメ作品という分かりやすい形で表現する人は多い。

今回は、その中でもセンスが光る日本とアルゼンチンの作品をこのブログの【発掘シリーズ】でピックアップしてみた。

作品1:「KUROKO」(日本)

www.youtube.com

作品の概要

金沢美術工芸大学 視覚デザイン専攻卒業制作作品。 生活を支える人々を黒子として表現したアニメーション作品。

「誰もが、誰かに支えられていて、また誰かを支える存在である」

2012.11.19 第14回 TBS DigiCon6Awardsにおいてブロンズ、 また同アワードの日本大会であるJAPAN Regional Awardsにおいて最優秀賞を受賞しました。

鈴木春香(SUE)さんによる卒業制作の作品である。

この作品に私が出会ったキッカケは、美大生や専門学校生・芸大生の卒業/修了制作を探し求めてインターネットをサーフィン徘徊していたとき。

YouTubeでは既にかなりの再生数で、もしかしたしたら既にご存じの方・見覚えのある方もいるかもしれない。

なんやかんやハッピーエンドで、最後の終わり方も良い。

見た後にほんの少しモチベーションが上がる。

f:id:mikanketsu:20190219030550p:plain

https://school.japandesign.ne.jp/kanazawa/sotsuten/12/11.htmlより

作品2:「EL EMPLEO」(アルゼンチン)

www.youtube.com

作品の概要

缶コーヒーのCMにもなるくらいだから、「労働によって人々の生活は支えられているんだよ」というメッセージは当然色々な作品のテーマとなる。

この作品のタイトル「EL EMPLEO」は「THE EMPLOYMENT」つまり「雇用」という意味。

アルゼンチンのイラストレーター、Santiago Grasso氏による皮肉めいた描写のアート系アニメ作品で、鈴木春香さんの「KUROKO」とは対照的に暗い印象だ。

仕事とは決して楽しいだけでなく、特に不況下では必ずしも自分がしたい職に就けるわけではない。

生活のためだけに働くことは楽しいことではないのだ...

こっちは、視聴後に「働く意味」について考えさせられる作品。

 

***

ん~なるほど。

同じようなテーマでも、作者や作品ごとのメッセージ性によって雰囲気が結構変わるんだね。

どちらも5分前後のアニメーション作品なので、是非とも気軽な気持ちで観て欲しい。

参考URL

school.japandesign.ne.jp

www.digicon6.com

ameblo.jp

 

アニメ「NEW GAME!!」から憧れの上司像や仕事への姿勢を考えちゃう感想

f:id:mikanketsu:20190203182618p:plain

仕事で悩んでいるなら、「New Game!!」をみなさい。

私は仕事で行き詰まったときに一気見することに決めており、今回は2期の「New Game!!」をピックアップしてみた。

(1期は新卒や転職を考えている人にオススメしたい。)

NEW GAME!! 第1話「恥ずかしいところを見られてしまいました……」        

青葉が高校を卒業し、ゲーム制作会社「イーグルジャンプ」に入社してからちょうど1年が過ぎ、かつての自分のように新入社員が入社する季節がやってきた。右も左もわからない新入社員だった自分が、コウたちに助けられながら少しずつ成長し、ついに先輩になるんだと思うと、どうしようもなく胸が高鳴る青葉。緊張をほぐすために「先輩の涼風青葉だよ!よろしくね!」とイーグルジャンプの入り口で挨拶の練習をする青葉だったが、出社してきたりんの口から告げられたのは、思いも寄らない言葉だった。

しずくから新作ゲームのキャラクターコンペをすることが花見の席で発表された。

青葉「私がこの会社に入ったのは、八神さんみたいなキャラクターデザイナーになりたいと思ったからです。チャンスがあったら挑戦してみたい。それが私の夢だから。」

仕事における原点を見失いそうになった際に思い出したいセリフ。

ただの現実逃避アニメではないことを再認識。

NEW GAME!! 第2話「これじゃあただのコスプレだにゃー!」        

お花見でしずくから発表された新作ゲームのキャラコンペ。高校を卒業し、入社したばかりのコウのデザインが「フェアリーズストーリー」のキャラコンペで選ばれたように、参加すればチャンスは誰にでもある。しずくたち企画班が作った企画書を読み、試行錯誤を繰り返す青葉だったが、デザインは思うように進まない。コウの席を覗き込むとすでにたくさんのキャラ表が出来上がっていて、そのクオリティの高さに圧倒される青葉。それでも青葉は挫けずに努力を続け、ついにキャラコンペ当日を迎える。

青葉がクマの寝袋を元に軽い気持ちで描いた絵がしずくの目に止まる。

「自由に描いて欲しいからこそだよ」というしずくのコンペの意図によって、フェアリーズストーリーを彷彿とさせるコウの絵よりも、思いがけない青葉のアイデアが仮採用に。

f:id:mikanketsu:20190203051325p:plain

「PECO」はこの青葉の絵から始まる。

1期でも着ていたクマの寝袋。

0から1を生み出すのは苦しいと考えがちだけど、実は身近な何かから着想を得ていることが殆どで、着想を得られるかがセンスであり個性であり才能なのだろう。

f:id:mikanketsu:20190203053209p:plain

1期「New game!」でのクマさん寝袋

これがきっかけでコウは若干余裕がなくなり、ゆんは青葉に啓発される。

憧れの人と競争し、上周り、蹴落とさないと追い越せない。削りあいながら磨かれていく。

ゆん「うちな...正直...ほんまは落ちるの分かってて頑張ってる青葉ちゃん見てて、かっこ悪いと思ってて。はじめのこともそう。企画なんか通るわけないのに、企画書なんか作ってかっこ悪いなって。気付いたらウチだけ何も進んでへん。ウチが一番かっこ悪い。

自嘲気味に、でもそれに気付いて正直な言葉を青葉に伝えて歩みはじめるゆんも素敵。

成長をしなくなると停滞し、停滞すると退化する。

いや~2期は内容が濃厚で見応えバツグンだ!

NEW GAME!! 第3話「……うー、恥ずかしい!」 

コウと二人で調整し、決定はアートディレクターであるコウが行うという条件付きではあるが、念願叶ってキャラクターデザインを任されることになった青葉。キャラコンペで描き上げたデザインが、すでにひふみの手によって3Dモデルになっているところを発見した青葉は、デザインで質問があれば何でも聞いてくださいと話す。そんな時間があるなら早くデザインを進めるようにとコウに注意される青葉だったが、3Dモデルを前に議論を交わす先輩たちを見て、キャラデザとして何か発言しなければと焦り始める。

 責任感と焦燥感で青葉の頭が真っ暗になる若干のシリアスモード。

 ちょっと調子に乗りたくても、1年では経験の差でまだ貢献できることは限られている。

そんな自己嫌悪モードに陥りそうな青葉を見たひふみんがランチに誘うファインプレー。

ひふみんがより一層素敵な上司に成長している。

***

ねねっち「本当にスゴイって思ってもらうのって、大変なんだなぁ」

うみことの対比なシーンが印象的なプログラミングのカット。

一生懸命独学で学んでも、「へー」で流されてしまう悲しさよ。

2期は名言製造器かと疑いたくなるほど、脳裏に焼き付くセリフが多い。

 しずく「過去も含めて今の八神があるのさ。それも必要なことだったんだよ。」

ちょっとやそっとの失敗は必ず将来の糧となって積み重なるし、喉元過ぎれば熱さを忘れるもんだね。仕事で辛い時に遭遇したら思い出そう。

NEW GAME!! 第4話「この…にぶちんめ!」        

「ムーンレンジャー」は女児向けのTVアニメとして始まり、その高いクオリティから子供たちだけでなく、大人たちの支持も得て、劇場版の製作や主題歌のライブまで行われるようになった大人気タイトルである。この度、2年半に渡って続いたムーンレンジャーの主人公が交代し、新たなスタートを切ることが決まった。そして初代としてのファイナルライブが開催されることになり、ムーンレンジャーの大ファンであるはじめは、何とかチケットを手に入れようと販売サイトにアクセスを試みるのだが……。

f:id:mikanketsu:20190203051450p:plain

ひふみん@にぶちん

コウにかわってひふみんがキャラ班のリーダーを引き受けることに。

指導者や管理者になるにあたっての覚悟だとか自信だとかの話が想起されてしまった。

仕事量も責任も増えるのだから、不安が全くないような肝が据わりきっている人は滅多にいないだろう。誰だって不安だ。

だからこそ後押しするコウの言葉を信じることができたひふみんは素敵。

NEW GAME!! 第5話「や、変なとこ触らないでよ!」        

キャラリーダーとして勇気を振り絞り、青葉とゆんに3Dモデルの進捗確認をするひふみ。コウがキャラリーダーだったときのクセで、つい締め切りのサバを読んでしまう青葉だったが、特に疑うこともなく青葉の言葉を信じてしまうひふみの様子に、慌てて本当のことを伝える。その一方で本当は間に合わないのに、大丈夫だと返事をしてしまったゆんは、結局最後まで遅れてしまいそうなことを言い出すことができず、本当のことを打ち明けたときのひふみが落ち込んでしまうのではないかと頭を悩ませる。

あ~仕事における締切系の報連相はあるあるだわ~

保険かけてサバ読んで報告する処世術を身につけると、嫌な意味で大人になったことを実感してしまうよね。

ここもひふみんがゆんにお説教するところが見所だね。

f:id:mikanketsu:20190203055133p:plain

「進捗どうですか~」

NEW GAME!! 第6話「あぁ……すごいなあ……」 

キャラクターデザインの仕事も順調に進み、ボツや微調整のチェックも含めて、青葉のデスクに積まれていくプリントの数々。厚い紙束となったプリントを見て、キャラクターデザイナーとして着実に仕事を進めていることへの実感から思わず微笑む青葉。ゆんやはじめと話をしているうちに、ゲーム雑誌などに掲載される宣伝用のイラストであるキービジュアルの話題になり、コウからもメインのキャラクターデザイナーとしてキービジュアルを描くことになると告げられた青葉は、プレッシャーを感じてガタガタと震え出す。

キービジュアルは青葉ではなくコウが描くことに。

コウは納得しておらず、青葉も自分を納得させるためにコンペを設けるようにしずくにたのむ。

青葉が納得するための儀式というか、全力で介錯されるための出来レースだ。

一見何の得にもならない行為だけれど、自分の中の未熟さや悔しさ、矛盾、もやもやを納得して昇華させるには必要なのだ。

ここで悔しい気持ちを持てないなら成長はない。

青葉の仕事の流儀のようなものだろう。

コウ「私がコンペの時に青葉を助けてなければ、青葉にこんな半端な想いをさせなくて済んだのに...」

青葉「子ども扱いしないでください!確かに八神さんの助けが無ければ、キャラデザは通ってませんでしたけど、それを受け入れたのも私の意思です!」

青葉「ちょっとくらい辛いことがあっても、私は我慢できます!」

好きな仕事に就いているからこその言葉だと思う。

こんな言葉を憧れだった今の上司に言えるなんて、青葉は幸せ者である。

結果的にはコウがキービジュアルを担当したが、青葉の成長が画を比較することで視聴者に伝わる。

f:id:mikanketsu:20190203051601p:plain

八神コウのキービジュアル

f:id:mikanketsu:20190203051627p:plain

没になった青葉のキービジュアル

NEW GAME!! 第7話「凄く熱い視線を感じる」    

うみこと一緒に面接官としてプログラマーの採用面接をすることになった青葉。プログラムのことがわからない自分が面接官をやっても大丈夫なのかとうみこに聞く青葉だったが、面接にやってくるプログラマーの実力はすでに把握しており、今回の面接は素行調査のようなものだという。よく状況を掴み切れないまま、面接室の入り口のドアがノックされ、ゆっくりとドアが開く。失礼しますという元気の良い言葉と共に面接室に入ってきたのは、青葉がとてもよく知っている人物で……。

ねねっちのような志望動機は、人生の大半を捧げる仕事や生き方を支える柱になるし、立ち戻るべき原点になる。

薄っぺらい就活本にあるようなステレオタイプ的な描写ではなくて、ねねっちのストーリーを垣間見ている視聴者は、面接を応援したくなっちゃう。

本筋では新入社員=新キャラクターが2人登場し、2期の折り返しを嫌でも感じてしまうよぉ~。

NEW GAME!! 第8話「メイド喫茶がいいと言ったんだよ」 

専門学校からインターンとしてやってきた紅葉やツバメたちの歓迎会の幹事をすることになった青葉たち。はじめが言うには、歓迎会や送別会、そして忘年会などの幹事の責任は重く、上手くこなせたかどうかで評価も変わってくるという。もし失敗してしまったらと緊張を隠せない青葉に対して、失敗だけでなく、成功し過ぎても、この先ずっと幹事をやることになると告げるはじめ。しかし、成功し過ぎず、失敗し過ぎずという中途半端な結果では記憶に残らない社員になってしまうのではと青葉は頭を抱えてしまう。

もみじ&ひふみんという「コミュ障&コミュ障」ペアの雰囲気が地味に好き。

ももちゃんマメだなぁ。

新しい環境で名前を覚えるのは確かに大変ことで、紙に書いて覚えようとするその姿勢は真面目で良いと思うし、私も紙に書いて人の名前を一致させようとしたことがあるから共感した。

一瞬で見逃しやすいが、キャラ班(+はじめ)で盛り上がっている様子を安心しながら見つめるコウの視線は、頼りがいがある上司のソレだったよ。

f:id:mikanketsu:20190203055204p:plain

輪に入らず敢えて立ち去る空気の読めるコウ

NEW GAME!! 第9話「シャツくらい着なよ!」    

遊園地にインセクトファイブのヒーローショーを観にやってきたはじめとゆん。ショーが終わり、握手をするために列に並んでいたはじめに声をかけてきたのは、はじめが高校生の頃の友達アッキーだった。東京に出てきて何をやっているのかを聞かれたはじめは、ついデザイナーをしてるとはぐらかしてしまう。おまけにアッキーの前では恥ずかしくて、ヒーローたちと握手をすることもできないはじめ。そんなはじめをからかうゆんに対して、はじめは高校生の頃にアニメや特撮が好きなことを隠していたと告げる。

f:id:mikanketsu:20190203172959p:plain

「シャツくらい着なよ!」

前半は他人の目を気にしていたゆんとはじめの休日の話。

後半はねねっちとなるっちの軽い衝突。

イーグルジャンプの既存メンバーと専門学生の新人2人がどう馴染んでいくか。

考え方の相違は当然あるが、気を遣おうとする青葉たちと、尖った未熟さが隠せない「なるっち」と「もも」のそれぞれの立場が描かれる。

なるっちの良い子ちゃんぶりに処世術の高さを感じてしまい、その腹黒さからちょっと好きになれなさそうかなと思ってしまった。

もちろんねねっちの発言も真面目な人を小馬鹿にしていると捉えられかねないケド。

でも実際社会に出てみると、こーゆー強(したた)かな振る舞いをする人はいる。

それに対する応答として、持ち前のねねっちのポジティブさは見習いたい。

ヘコんでられないしね。

一生懸命取り組む過程と、そこから生み出す結果で見返してやろう!

...そう思わせてくれた9話だった。

NEW GAME!! 第10話「どんどんリアリティが薄くなっていくんだよ」         

はじめが作った仕様書の通り、PECOの中に組み込むミニゲーム「だるまさんが転んだ」のプログラムを組み上げるツバメ。しかし、出来上がったゲーム画面を見たはじめは何かが物足りないと告げる。何が物足りないと感じる原因なのかがわからずに、青葉やゆんに意見を求めるはじめだったが、違和感を解消するには至らない。ツバメにも作っていて面白かったかどうかを尋ねたはじめは、ツバメから出てきた何気ない一言で足りなかったものを理解するのだが、仕様書を描き直してしまうと納期に間に合わないと言われて……。

責任の所在と納期を気にするなるっち。

仕事に於いて重要だし、言いにくくても訊かなければいけないことだ。

それに個人の評価がかかっているから気にしてしまうもの。

対して、はじめや青葉は妥協しないモノ作りを追求しているからこそ、「仕様書通りにやりました」では終わらせないのだ。

他人と比較して自分の優位を感じたいという心は人間として当然。

しかも資本主義社会で競争原理による切磋琢磨によって商品の精度は向上する。

なるっちはなるっちで並々ならぬ覚悟を以て上京しているからこそ、生き残りたいという気持ちが表れているのだと思う。

うみこさんのフォロー(=企画と上手く付き合うべし)はさり気なくも印象に残る一級品なので、私も忘れずに胸に刻もう。

うみこ「すんなり完成の方向が見えれば楽なんですが、そうはいかないのも現実です。それでも、いいものを作りたいという気持ちは忘れずにいたいですね。」

***

ボードゲームを妥協してうみこに提出しようとしたねねっちが、手伝えることを探して社内を巡回しながら、プロでも修正を繰り返していることを知るのも良いよね。

なるっちもツンデレになりつつあり、うみこの株もストップ高不可避。

うみこ「みんな限りある時間の中で目標に近いものを作ろうとしています。さくらさんの目標通りではないにしても、これは合格点です。でも、もしさくらさんの中で納得がいかないのなら、最後まで作ってみてください。その時はまた見てあげますよ。」

f:id:mikanketsu:20190203172646p:plain

NEW GAME!! 第11話「心になにか抱えてるのか」             

プログラムの仕事を次々に片付け、うみこに作業のスピードが速いと褒められたツバメは得意顔でねねを見る。そんなツバメの態度が面白くないねねは、PECOのデバッグ作業の合間に読んでいたプログラムのコードの中で、ツバメの書いたコードの一部が、もっと短くまとめることができるのではないかと指摘する。うみこの評価が下がってしまうかもしれないと焦り、余計なことを言うなとねねに怒るツバメ。その場に居づらくなってしまい、キャラ班のブースへとやってきたねねは、紅葉にツバメがどんな人なのか聞くのだが……。

なるっちがなぜ評価を気にしているのかが判明する話。

会社というのは組織であり、組織には上下関係が存在するが、その関係性という色眼鏡を取っ払ったとき、組織を構成するのは一人一人の「人」であることに気付く。

そしてその「人」が入社するまでのバックボーンには十人十色の人生物語(ストーリー)がある。

改めてそんな事実を認識すると、個性的な一人一人の人生の集合体が組織であり、組織は人間社会において一人では出来ないような規模の生産活動(経済活動)をすることが出来るのだ。

NEW GAME!! 第12話「ぜひ買ってくださいね!」             

ついにPECOがマスターアップを迎え、お披露目とタイトルの宣伝を兼ねた完成記念イベントが開催されることになった。PECOの前評判は高く、ステージ前に設けられた客席は満員御礼。会場へとやってきた青葉たちは関係者席に腰を下ろし、しずくやコウが登壇するステージを眺めていた。前もって決められていた段取りとは異なるサプライズなどがありつつも無事にイベントは終了し、控室に集まった一同。そこで聞かされたのは、思わず耳を疑ってしまうような、にわかには受け入れがたい話だった。

コウがフランスへ行く。

そしていつの間にかもみじと青葉の関係性も(若干)良くなってる!?

2人の関係性や、青葉という後任を見守って育てるのも上司の仕事だとコウは考えたのかな。

f:id:mikanketsu:20190203180126p:plain

印象的すぎるほど印象的な、サプライズ登壇のシーン

コウ「ごめんな、自分勝手な上司で。」

青葉「...そうですよ。本当に、自分勝手な上司だと思います。八神さんは会社の看板なんですよ。自覚はあるんですか?それにいつもテキトーだし、それでいてナイーブだし、振り回されるこっちの身にもなってください!」

青葉「八神さんは馬鹿野郎ですよ。八神さんは私の目標なんです。今だって十分凄い人なのに。なのに、どうしてフランスへ行っちゃうんですか。」

コウ「私を、もっと上手くなりたいって気にさせてくれたのは、青葉なんだよ。キービジュアルのコンペ前日の夜、頑張っている青葉を見て、私も負けてられないって思ったんだ。今に満足していた私に、青葉が思い出させてくれたんだ。私、もっと上手くなりたいんだって。」

ここからラストまでは実際に見て欲しい。

 全体の感想

1期も2期も、この作品は仕事へのモチベーションを上げてくれる。

仕事というリアルな設定にも拘わらず、女性だけの職場という現実逃避可能な設定もあり、仕事で行き詰まったら見ることをオススメする。

憧れの上司として(阿波根うみこ・八神コウ)

この二人は管理職的な立場であり、後輩の育成にあたって見習うべきところがアニメ中で散見される。

そんな場面の一部のセリフを、各話で抜粋してみたのがこの記事の試みだ。

後で見返す用として「自分用の備忘録」という意味も実はこの記事にあったりしちゃうのですよ。

アニメやマンガという媒体で描かれるこの二人の上司像は、一般的に世間から「理想的な上司だね」と言われるものであるから、私のような現実逃避したい迷い猫が食いつきやすいのだと思う。

この二人を見て、「良い上司だな」と感じたなら、それはもし自分が管理職になる上でのロールモデルになり得ることを意味する。

現実の仕事に応用できそうなヒントが詰まっているからこそ、単なる現実逃避のアニメとしてだけではない視点でも、「New Game!!」を見て欲しいのだ。

各キャラの仕事への姿勢

1期と比べて2期は重めで内容が詰まっている。その分視聴による満足度は高い。

青葉はコウに憧れて、自分もああなりたいという思いで入社している。

その軸はぶれることなく、例えばコンペでも確実に青葉は八神コウの背中を追って成長している。

そんな青葉の頑張りは、ゆんやねねっちにも影響を与えていて、自分の周りの環境も結果的に同じ方向を向いて成長させている。

結果的に、ただ効率や打算を追求するよりも働きやすい環境を手に入れているのだ。

ひふみんもキャラ班のリーダーを担い、コミュ障を克服しようと成長している。

あと可愛い。

そして、2期で忘れてはならないのが専門学校から来た「もも」と「なるっち」だ。

彼女らは彼女らなりに一生懸命で、イーグルジャンプの一員として馴染むまでがストリーとして描かれているし見所になっている。

2期の7話過ぎから登場人物が揃いはじめると、1期も含めて個々人が個々人なりの背景とともに仕事への情熱や哲学、原点のようなものを抱いていることに気付かされた。

その個性的なバックボーンが作品のキャラ付けになっていつつ、みんな前向きだからこっちもポジティブな気持ちを頂ける。

だからこそこの記事の冒頭で書いた、『仕事で行き詰まったら「New game!!」をみなさい』というオススメに終始するのですよ!

 

 

もう一度最後にこの言葉で締めよう。

仕事で悩んでいるなら、「New Game!!」をみなさい。