未完結ブログ

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東大合格発表日に出勤した塾講師が感じたこと【E判定でも合格するしA判定でも落ちる】

「直前の模試がE判定でも受かるヤツもいれば、A判定でも落ちるヤツもいる」

要するに、勝負は最後までどう転ぶかわからないのだな、ということを改めて感じただけ。

 お仕事してきたよ。

2019年3月10日は東大の合格発表日だった*1

日曜日だけれども、この日は高校生を指導している教育関係者なら忙しい日。

予備校や学習塾の講師ならびに職員は実績集計などで終日稼働する。

塾・予備校や高校の先生の中には当然、当日直接生徒から合否結果の連絡をもらった人もいるはず。

発表時間は12:00なのだが、時間前にはやはりソワソワしちゃうものだ。

「今年は何人受かるだろうか?」

「自分の母校から今年も東大はでるかな?」

「アイツは果たして合格してるのか?」etc...

 

合否確認を発表と同時にスムーズに行うためには、当然2次試験受験者の一覧を手元に置いておく必要がある。

いや~、一覧表は個人情報満載だから、トイレに置き忘れようものならクビが飛んじゃう!

取り扱い注意!

その一覧表には受験番号や氏名の他に「出身高校」「非卒/既卒」、直前の模試の判定による「見込み」等々が載っていた。

仕事を終えて、合否結果が判明した時点でシュレッダーにかけるのだが、合否を反映させた一覧表から得られる情報がやはり貴重だったので、暫く眺めていた。

感想を忘れないうちにメモっておく。

感じたこと1:既卒が強い

いわゆる浪人生。

1次のセンター足切りを突破している浪人生は、少なくとも東大を受験する覚悟がある者たちで、闘う上での最低限の実力を有しているから当然と言えば当然か。

「なんちゃって東大受験浪人生」は1次で足切りを食らうだろうし、現役生よりも多く準備期間を確保しているのだから。

さて、大学入試は現在過渡期真っ只中であるから、いつまでも浪人はしていられない。

だからこそ首都圏の中堅私大が難化している。

それでも第一志望を諦めない浪人生や、カリキュラムを早期に終了させている中高一貫校の受験生を薙ぎ倒さなければ、公立高校から現役では合格は難しい。

そんな当たり前のことが、見事に一覧表の紙面で確認できた。

感じたこと2:E判定でも合格するしA判定でも落ちる

判定はあくまでも判定にすぎないということを感じさせた。

E判定やD判定の子が合格していて、A判定やB判定の子が落ちているのよ!

出身高校はみんな名門。

私立なら開成、麻布、浅野、西大和、渋幕etcだし、公立なら浦和、横浜翠嵐、都立西etc。

書き切れないくらい多くの有名な学校。

受験者一覧表では高校名という「ブランド」、「高校入学時の偏差値」という色眼鏡で見がちだけれど、大学入試までは入学から3年も経っているわけで、そりゃ参考にはなるけど、参考にしかならないわな。

東大入試は受験者一人ひとりの実力による勝負である。

あくまで最後に受けた模試の問題での偏差値と判定であって、本番一発勝負だからこそA判定でも油断は禁物だし、慢心はしてはならない。

直前までに油断せず、どこまで自分を追い込んでストイックに対策を継続出来たかが分かれ目じゃないかな。

勉強に没頭できるかどうか

東大だけに限らず、模試でE判定でも第一志望校に合格するヤツには普段の学習の様子に共通点がある気がする。

だからこそ講師は、担当する子が「その状態」に近づけるようにしているのかもしれない。

「その状態」というものを頑張ってわかりやすい言葉にしてみよう!

=勉強に没頭できる/している状態

=進学を自分事と捉え、受験勉強に当事者意識がある状態

=現状に適度な危機感を持ち、克服のために逆算して学習計画をしている状態

かな~。

月並みな言葉だと、「毎日机に向かう習慣」などと言い換えができそう。

「継続は力なり」とはよく言ったもので、ブログだろうが勉強だろうが恋愛だろうが、継続することはもの凄く難しいし、努力なしでは継続できない。

ここぞという場面では当然努力し、何でもない普段の日常でも努力を続け、誘惑が多くても負けず、苦しくても当たり前のように勉強するという高い水準の維持が、志望校合格に肝要であるはず。

「当事者意識」も大事かも。

「親が言っているし、なんとなく国公立目指します」系の子は、自分のために頑張る意識が低いから、部活や学校行事にのめり込みすぎてしまうキライがある*2

高校生は大人と子どもの境界線上の存在だから、当事者意識を養いつつ自分のために楽しみながら勉強に没頭できるようにシフトして成長したいね。

*1:京大や横市も発表日だったけどね。

*2:両立して楽しむべきだけど、比重を考えようね、という話。

【世界は誰かの仕事で出来ている。】鈴木春香「KUROKO」+Santiago Grasso「EL EMPLEO」:感想と視聴のススメ【発掘シリーズ】

「世界は誰かの仕事で出来ている。」という話

山田孝之さんが出演している「ジョージア」という缶コーヒーのCMは有名だ。

その中でも「つながっている」編のCMは構成が簡潔に練られていて、私のお気に入り。

きっと誰もが一度は目にしたことがあるはず。

www.youtube.com

「世界は誰かの仕事で出来ている。」というキャッチフレーズは、大人になればなるほど沁みてくる秀逸なコピーだ。

当然私たちの多くは、この資本主義社会を生きていくにあたって「労働者」であり、

また同時に製品やサービスの恩恵に与(あずか)る「消費者」でもある。

「労働者」であり「消費者」である個々人の集合によってこの世界は出来ている。

そんな、当たり前だけど気付きにくい日常を、アニメ作品という分かりやすい形で表現する人は多い。

今回は、その中でもセンスが光る日本とアルゼンチンの作品をこのブログの【発掘シリーズ】でピックアップしてみた。

作品1:「KUROKO」(日本)

www.youtube.com

作品の概要

金沢美術工芸大学 視覚デザイン専攻卒業制作作品。 生活を支える人々を黒子として表現したアニメーション作品。

「誰もが、誰かに支えられていて、また誰かを支える存在である」

2012.11.19 第14回 TBS DigiCon6Awardsにおいてブロンズ、 また同アワードの日本大会であるJAPAN Regional Awardsにおいて最優秀賞を受賞しました。

鈴木春香(SUE)さんによる卒業制作の作品である。

この作品に私が出会ったキッカケは、美大生や専門学校生・芸大生の卒業/修了制作を探し求めてインターネットをサーフィン徘徊していたとき。

YouTubeでは既にかなりの再生数で、もしかしたしたら既にご存じの方・見覚えのある方もいるかもしれない。

なんやかんやハッピーエンドで、最後の終わり方も良い。

見た後にほんの少しモチベーションが上がる。

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https://school.japandesign.ne.jp/kanazawa/sotsuten/12/11.htmlより

作品2:「EL EMPLEO」(アルゼンチン)

www.youtube.com

作品の概要

缶コーヒーのCMにもなるくらいだから、「労働によって人々の生活は支えられているんだよ」というメッセージは当然色々な作品のテーマとなる。

この作品のタイトル「EL EMPLEO」は「THE EMPLOYMENT」つまり「雇用」という意味。

アルゼンチンのイラストレーター、Santiago Grasso氏による皮肉めいた描写のアート系アニメ作品で、鈴木春香さんの「KUROKO」とは対照的に暗い印象だ。

仕事とは決して楽しいだけでなく、特に不況下では必ずしも自分がしたい職に就けるわけではない。

生活のためだけに働くことは楽しいことではないのだ...

こっちは、視聴後に「働く意味」について考えさせられる作品。

 

***

ん~なるほど。

同じようなテーマでも、作者や作品ごとのメッセージ性によって雰囲気が結構変わるんだね。

どちらも5分前後のアニメーション作品なので、是非とも気軽な気持ちで観て欲しい。

参考URL

school.japandesign.ne.jp

www.digicon6.com

ameblo.jp

 

アニメ「NEW GAME!!」から憧れの上司像や仕事への姿勢を考えちゃう感想

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仕事で悩んでいるなら、「New Game!!」をみなさい。

私は仕事で行き詰まったときに一気見することに決めており、今回は2期の「New Game!!」をピックアップしてみた。

(1期は新卒や転職を考えている人にオススメしたい。)

NEW GAME!! 第1話「恥ずかしいところを見られてしまいました……」        

青葉が高校を卒業し、ゲーム制作会社「イーグルジャンプ」に入社してからちょうど1年が過ぎ、かつての自分のように新入社員が入社する季節がやってきた。右も左もわからない新入社員だった自分が、コウたちに助けられながら少しずつ成長し、ついに先輩になるんだと思うと、どうしようもなく胸が高鳴る青葉。緊張をほぐすために「先輩の涼風青葉だよ!よろしくね!」とイーグルジャンプの入り口で挨拶の練習をする青葉だったが、出社してきたりんの口から告げられたのは、思いも寄らない言葉だった。

しずくから新作ゲームのキャラクターコンペをすることが花見の席で発表された。

青葉「私がこの会社に入ったのは、八神さんみたいなキャラクターデザイナーになりたいと思ったからです。チャンスがあったら挑戦してみたい。それが私の夢だから。」

仕事における原点を見失いそうになった際に思い出したいセリフ。

ただの現実逃避アニメではないことを再認識。

NEW GAME!! 第2話「これじゃあただのコスプレだにゃー!」        

お花見でしずくから発表された新作ゲームのキャラコンペ。高校を卒業し、入社したばかりのコウのデザインが「フェアリーズストーリー」のキャラコンペで選ばれたように、参加すればチャンスは誰にでもある。しずくたち企画班が作った企画書を読み、試行錯誤を繰り返す青葉だったが、デザインは思うように進まない。コウの席を覗き込むとすでにたくさんのキャラ表が出来上がっていて、そのクオリティの高さに圧倒される青葉。それでも青葉は挫けずに努力を続け、ついにキャラコンペ当日を迎える。

青葉がクマの寝袋を元に軽い気持ちで描いた絵がしずくの目に止まる。

「自由に描いて欲しいからこそだよ」というしずくのコンペの意図によって、フェアリーズストーリーを彷彿とさせるコウの絵よりも、思いがけない青葉のアイデアが仮採用に。

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「PECO」はこの青葉の絵から始まる。

1期でも着ていたクマの寝袋。

0から1を生み出すのは苦しいと考えがちだけど、実は身近な何かから着想を得ていることが殆どで、着想を得られるかがセンスであり個性であり才能なのだろう。

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1期「New game!」でのクマさん寝袋

これがきっかけでコウは若干余裕がなくなり、ゆんは青葉に啓発される。

憧れの人と競争し、上周り、蹴落とさないと追い越せない。削りあいながら磨かれていく。

ゆん「うちな...正直...ほんまは落ちるの分かってて頑張ってる青葉ちゃん見てて、かっこ悪いと思ってて。はじめのこともそう。企画なんか通るわけないのに、企画書なんか作ってかっこ悪いなって。気付いたらウチだけ何も進んでへん。ウチが一番かっこ悪い。

自嘲気味に、でもそれに気付いて正直な言葉を青葉に伝えて歩みはじめるゆんも素敵。

成長をしなくなると停滞し、停滞すると退化する。

いや~2期は内容が濃厚で見応えバツグンだ!

NEW GAME!! 第3話「……うー、恥ずかしい!」 

コウと二人で調整し、決定はアートディレクターであるコウが行うという条件付きではあるが、念願叶ってキャラクターデザインを任されることになった青葉。キャラコンペで描き上げたデザインが、すでにひふみの手によって3Dモデルになっているところを発見した青葉は、デザインで質問があれば何でも聞いてくださいと話す。そんな時間があるなら早くデザインを進めるようにとコウに注意される青葉だったが、3Dモデルを前に議論を交わす先輩たちを見て、キャラデザとして何か発言しなければと焦り始める。

 責任感と焦燥感で青葉の頭が真っ暗になる若干のシリアスモード。

 ちょっと調子に乗りたくても、1年では経験の差でまだ貢献できることは限られている。

そんな自己嫌悪モードに陥りそうな青葉を見たひふみんがランチに誘うファインプレー。

ひふみんがより一層素敵な上司に成長している。

***

ねねっち「本当にスゴイって思ってもらうのって、大変なんだなぁ」

うみことの対比なシーンが印象的なプログラミングのカット。

一生懸命独学で学んでも、「へー」で流されてしまう悲しさよ。

2期は名言製造器かと疑いたくなるほど、脳裏に焼き付くセリフが多い。

 しずく「過去も含めて今の八神があるのさ。それも必要なことだったんだよ。」

ちょっとやそっとの失敗は必ず将来の糧となって積み重なるし、喉元過ぎれば熱さを忘れるもんだね。仕事で辛い時に遭遇したら思い出そう。

NEW GAME!! 第4話「この…にぶちんめ!」        

「ムーンレンジャー」は女児向けのTVアニメとして始まり、その高いクオリティから子供たちだけでなく、大人たちの支持も得て、劇場版の製作や主題歌のライブまで行われるようになった大人気タイトルである。この度、2年半に渡って続いたムーンレンジャーの主人公が交代し、新たなスタートを切ることが決まった。そして初代としてのファイナルライブが開催されることになり、ムーンレンジャーの大ファンであるはじめは、何とかチケットを手に入れようと販売サイトにアクセスを試みるのだが……。

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ひふみん@にぶちん

コウにかわってひふみんがキャラ班のリーダーを引き受けることに。

指導者や管理者になるにあたっての覚悟だとか自信だとかの話が想起されてしまった。

仕事量も責任も増えるのだから、不安が全くないような肝が据わりきっている人は滅多にいないだろう。誰だって不安だ。

だからこそ後押しするコウの言葉を信じることができたひふみんは素敵。

NEW GAME!! 第5話「や、変なとこ触らないでよ!」        

キャラリーダーとして勇気を振り絞り、青葉とゆんに3Dモデルの進捗確認をするひふみ。コウがキャラリーダーだったときのクセで、つい締め切りのサバを読んでしまう青葉だったが、特に疑うこともなく青葉の言葉を信じてしまうひふみの様子に、慌てて本当のことを伝える。その一方で本当は間に合わないのに、大丈夫だと返事をしてしまったゆんは、結局最後まで遅れてしまいそうなことを言い出すことができず、本当のことを打ち明けたときのひふみが落ち込んでしまうのではないかと頭を悩ませる。

あ~仕事における締切系の報連相はあるあるだわ~

保険かけてサバ読んで報告する処世術を身につけると、嫌な意味で大人になったことを実感してしまうよね。

ここもひふみんがゆんにお説教するところが見所だね。

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「進捗どうですか~」

NEW GAME!! 第6話「あぁ……すごいなあ……」 

キャラクターデザインの仕事も順調に進み、ボツや微調整のチェックも含めて、青葉のデスクに積まれていくプリントの数々。厚い紙束となったプリントを見て、キャラクターデザイナーとして着実に仕事を進めていることへの実感から思わず微笑む青葉。ゆんやはじめと話をしているうちに、ゲーム雑誌などに掲載される宣伝用のイラストであるキービジュアルの話題になり、コウからもメインのキャラクターデザイナーとしてキービジュアルを描くことになると告げられた青葉は、プレッシャーを感じてガタガタと震え出す。

キービジュアルは青葉ではなくコウが描くことに。

コウは納得しておらず、青葉も自分を納得させるためにコンペを設けるようにしずくにたのむ。

青葉が納得するための儀式というか、全力で介錯されるための出来レースだ。

一見何の得にもならない行為だけれど、自分の中の未熟さや悔しさ、矛盾、もやもやを納得して昇華させるには必要なのだ。

ここで悔しい気持ちを持てないなら成長はない。

青葉の仕事の流儀のようなものだろう。

コウ「私がコンペの時に青葉を助けてなければ、青葉にこんな半端な想いをさせなくて済んだのに...」

青葉「子ども扱いしないでください!確かに八神さんの助けが無ければ、キャラデザは通ってませんでしたけど、それを受け入れたのも私の意思です!」

青葉「ちょっとくらい辛いことがあっても、私は我慢できます!」

好きな仕事に就いているからこその言葉だと思う。

こんな言葉を憧れだった今の上司に言えるなんて、青葉は幸せ者である。

結果的にはコウがキービジュアルを担当したが、青葉の成長が画を比較することで視聴者に伝わる。

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八神コウのキービジュアル

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没になった青葉のキービジュアル

NEW GAME!! 第7話「凄く熱い視線を感じる」    

うみこと一緒に面接官としてプログラマーの採用面接をすることになった青葉。プログラムのことがわからない自分が面接官をやっても大丈夫なのかとうみこに聞く青葉だったが、面接にやってくるプログラマーの実力はすでに把握しており、今回の面接は素行調査のようなものだという。よく状況を掴み切れないまま、面接室の入り口のドアがノックされ、ゆっくりとドアが開く。失礼しますという元気の良い言葉と共に面接室に入ってきたのは、青葉がとてもよく知っている人物で……。

ねねっちのような志望動機は、人生の大半を捧げる仕事や生き方を支える柱になるし、立ち戻るべき原点になる。

薄っぺらい就活本にあるようなステレオタイプ的な描写ではなくて、ねねっちのストーリーを垣間見ている視聴者は、面接を応援したくなっちゃう。

本筋では新入社員=新キャラクターが2人登場し、2期の折り返しを嫌でも感じてしまうよぉ~。

NEW GAME!! 第8話「メイド喫茶がいいと言ったんだよ」 

専門学校からインターンとしてやってきた紅葉やツバメたちの歓迎会の幹事をすることになった青葉たち。はじめが言うには、歓迎会や送別会、そして忘年会などの幹事の責任は重く、上手くこなせたかどうかで評価も変わってくるという。もし失敗してしまったらと緊張を隠せない青葉に対して、失敗だけでなく、成功し過ぎても、この先ずっと幹事をやることになると告げるはじめ。しかし、成功し過ぎず、失敗し過ぎずという中途半端な結果では記憶に残らない社員になってしまうのではと青葉は頭を抱えてしまう。

もみじ&ひふみんという「コミュ障&コミュ障」ペアの雰囲気が地味に好き。

ももちゃんマメだなぁ。

新しい環境で名前を覚えるのは確かに大変ことで、紙に書いて覚えようとするその姿勢は真面目で良いと思うし、私も紙に書いて人の名前を一致させようとしたことがあるから共感した。

一瞬で見逃しやすいが、キャラ班(+はじめ)で盛り上がっている様子を安心しながら見つめるコウの視線は、頼りがいがある上司のソレだったよ。

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輪に入らず敢えて立ち去る空気の読めるコウ

NEW GAME!! 第9話「シャツくらい着なよ!」    

遊園地にインセクトファイブのヒーローショーを観にやってきたはじめとゆん。ショーが終わり、握手をするために列に並んでいたはじめに声をかけてきたのは、はじめが高校生の頃の友達アッキーだった。東京に出てきて何をやっているのかを聞かれたはじめは、ついデザイナーをしてるとはぐらかしてしまう。おまけにアッキーの前では恥ずかしくて、ヒーローたちと握手をすることもできないはじめ。そんなはじめをからかうゆんに対して、はじめは高校生の頃にアニメや特撮が好きなことを隠していたと告げる。

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「シャツくらい着なよ!」

前半は他人の目を気にしていたゆんとはじめの休日の話。

後半はねねっちとなるっちの軽い衝突。

イーグルジャンプの既存メンバーと専門学生の新人2人がどう馴染んでいくか。

考え方の相違は当然あるが、気を遣おうとする青葉たちと、尖った未熟さが隠せない「なるっち」と「もも」のそれぞれの立場が描かれる。

なるっちの良い子ちゃんぶりに処世術の高さを感じてしまい、その腹黒さからちょっと好きになれなさそうかなと思ってしまった。

もちろんねねっちの発言も真面目な人を小馬鹿にしていると捉えられかねないケド。

でも実際社会に出てみると、こーゆー強(したた)かな振る舞いをする人はいる。

それに対する応答として、持ち前のねねっちのポジティブさは見習いたい。

ヘコんでられないしね。

一生懸命取り組む過程と、そこから生み出す結果で見返してやろう!

...そう思わせてくれた9話だった。

NEW GAME!! 第10話「どんどんリアリティが薄くなっていくんだよ」         

はじめが作った仕様書の通り、PECOの中に組み込むミニゲーム「だるまさんが転んだ」のプログラムを組み上げるツバメ。しかし、出来上がったゲーム画面を見たはじめは何かが物足りないと告げる。何が物足りないと感じる原因なのかがわからずに、青葉やゆんに意見を求めるはじめだったが、違和感を解消するには至らない。ツバメにも作っていて面白かったかどうかを尋ねたはじめは、ツバメから出てきた何気ない一言で足りなかったものを理解するのだが、仕様書を描き直してしまうと納期に間に合わないと言われて……。

責任の所在と納期を気にするなるっち。

仕事に於いて重要だし、言いにくくても訊かなければいけないことだ。

それに個人の評価がかかっているから気にしてしまうもの。

対して、はじめや青葉は妥協しないモノ作りを追求しているからこそ、「仕様書通りにやりました」では終わらせないのだ。

他人と比較して自分の優位を感じたいという心は人間として当然。

しかも資本主義社会で競争原理による切磋琢磨によって商品の精度は向上する。

なるっちはなるっちで並々ならぬ覚悟を以て上京しているからこそ、生き残りたいという気持ちが表れているのだと思う。

うみこさんのフォロー(=企画と上手く付き合うべし)はさり気なくも印象に残る一級品なので、私も忘れずに胸に刻もう。

うみこ「すんなり完成の方向が見えれば楽なんですが、そうはいかないのも現実です。それでも、いいものを作りたいという気持ちは忘れずにいたいですね。」

***

ボードゲームを妥協してうみこに提出しようとしたねねっちが、手伝えることを探して社内を巡回しながら、プロでも修正を繰り返していることを知るのも良いよね。

なるっちもツンデレになりつつあり、うみこの株もストップ高不可避。

うみこ「みんな限りある時間の中で目標に近いものを作ろうとしています。さくらさんの目標通りではないにしても、これは合格点です。でも、もしさくらさんの中で納得がいかないのなら、最後まで作ってみてください。その時はまた見てあげますよ。」

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NEW GAME!! 第11話「心になにか抱えてるのか」             

プログラムの仕事を次々に片付け、うみこに作業のスピードが速いと褒められたツバメは得意顔でねねを見る。そんなツバメの態度が面白くないねねは、PECOのデバッグ作業の合間に読んでいたプログラムのコードの中で、ツバメの書いたコードの一部が、もっと短くまとめることができるのではないかと指摘する。うみこの評価が下がってしまうかもしれないと焦り、余計なことを言うなとねねに怒るツバメ。その場に居づらくなってしまい、キャラ班のブースへとやってきたねねは、紅葉にツバメがどんな人なのか聞くのだが……。

なるっちがなぜ評価を気にしているのかが判明する話。

会社というのは組織であり、組織には上下関係が存在するが、その関係性という色眼鏡を取っ払ったとき、組織を構成するのは一人一人の「人」であることに気付く。

そしてその「人」が入社するまでのバックボーンには十人十色の人生物語(ストーリー)がある。

改めてそんな事実を認識すると、個性的な一人一人の人生の集合体が組織であり、組織は人間社会において一人では出来ないような規模の生産活動(経済活動)をすることが出来るのだ。

NEW GAME!! 第12話「ぜひ買ってくださいね!」             

ついにPECOがマスターアップを迎え、お披露目とタイトルの宣伝を兼ねた完成記念イベントが開催されることになった。PECOの前評判は高く、ステージ前に設けられた客席は満員御礼。会場へとやってきた青葉たちは関係者席に腰を下ろし、しずくやコウが登壇するステージを眺めていた。前もって決められていた段取りとは異なるサプライズなどがありつつも無事にイベントは終了し、控室に集まった一同。そこで聞かされたのは、思わず耳を疑ってしまうような、にわかには受け入れがたい話だった。

コウがフランスへ行く。

そしていつの間にかもみじと青葉の関係性も(若干)良くなってる!?

2人の関係性や、青葉という後任を見守って育てるのも上司の仕事だとコウは考えたのかな。

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印象的すぎるほど印象的な、サプライズ登壇のシーン

コウ「ごめんな、自分勝手な上司で。」

青葉「...そうですよ。本当に、自分勝手な上司だと思います。八神さんは会社の看板なんですよ。自覚はあるんですか?それにいつもテキトーだし、それでいてナイーブだし、振り回されるこっちの身にもなってください!」

青葉「八神さんは馬鹿野郎ですよ。八神さんは私の目標なんです。今だって十分凄い人なのに。なのに、どうしてフランスへ行っちゃうんですか。」

コウ「私を、もっと上手くなりたいって気にさせてくれたのは、青葉なんだよ。キービジュアルのコンペ前日の夜、頑張っている青葉を見て、私も負けてられないって思ったんだ。今に満足していた私に、青葉が思い出させてくれたんだ。私、もっと上手くなりたいんだって。」

ここからラストまでは実際に見て欲しい。

 全体の感想

1期も2期も、この作品は仕事へのモチベーションを上げてくれる。

仕事というリアルな設定にも拘わらず、女性だけの職場という現実逃避可能な設定もあり、仕事で行き詰まったら見ることをオススメする。

憧れの上司として(阿波根うみこ・八神コウ)

この二人は管理職的な立場であり、後輩の育成にあたって見習うべきところがアニメ中で散見される。

そんな場面の一部のセリフを、各話で抜粋してみたのがこの記事の試みだ。

後で見返す用として「自分用の備忘録」という意味も実はこの記事にあったりしちゃうのですよ。

アニメやマンガという媒体で描かれるこの二人の上司像は、一般的に世間から「理想的な上司だね」と言われるものであるから、私のような現実逃避したい迷い猫が食いつきやすいのだと思う。

この二人を見て、「良い上司だな」と感じたなら、それはもし自分が管理職になる上でのロールモデルになり得ることを意味する。

現実の仕事に応用できそうなヒントが詰まっているからこそ、単なる現実逃避のアニメとしてだけではない視点でも、「New Game!!」を見て欲しいのだ。

各キャラの仕事への姿勢

1期と比べて2期は重めで内容が詰まっている。その分視聴による満足度は高い。

青葉はコウに憧れて、自分もああなりたいという思いで入社している。

その軸はぶれることなく、例えばコンペでも確実に青葉は八神コウの背中を追って成長している。

そんな青葉の頑張りは、ゆんやねねっちにも影響を与えていて、自分の周りの環境も結果的に同じ方向を向いて成長させている。

結果的に、ただ効率や打算を追求するよりも働きやすい環境を手に入れているのだ。

ひふみんもキャラ班のリーダーを担い、コミュ障を克服しようと成長している。

あと可愛い。

そして、2期で忘れてはならないのが専門学校から来た「もも」と「なるっち」だ。

彼女らは彼女らなりに一生懸命で、イーグルジャンプの一員として馴染むまでがストリーとして描かれているし見所になっている。

2期の7話過ぎから登場人物が揃いはじめると、1期も含めて個々人が個々人なりの背景とともに仕事への情熱や哲学、原点のようなものを抱いていることに気付かされた。

その個性的なバックボーンが作品のキャラ付けになっていつつ、みんな前向きだからこっちもポジティブな気持ちを頂ける。

だからこそこの記事の冒頭で書いた、『仕事で行き詰まったら「New game!!」をみなさい』というオススメに終始するのですよ!

 

 

もう一度最後にこの言葉で締めよう。

仕事で悩んでいるなら、「New Game!!」をみなさい。

【一人暮らしの不摂生な生活の人へ】野上真生「しあわせごはん」:感想と視聴のススメ【発掘シリーズ】

サムネイルで既に飯テロな自主制作アニメ。

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www.youtube.com

作品と作者の概要

制作者名:野上真生(Nogami Mao)

本編:3分40秒

作品あらすじ:日々の仕事と生活に疲弊したOLの元に、ムー〇ン似の生物と小っちゃい丸い生き物が現れてごはんをつくってくれる話。

卒業制作に作ったものです。

少しでも誰かの心とお腹をくすぐれます様に。

YouTubeの概要欄より)

くすぐられちゃった。

この作品の魅力

一人暮らししている人にはぶっささる内容でしょ。

仕事が忙しいと家事全般をする時間がなくなって、気付くと足の踏み場がなくなる。

私の部屋も一時期こんな感じだった。

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独り暮らしは皆さんこんなもんですよね...?

コンビニ飯やデリバリーなら片付けは楽でいいけど、鍋物やフライパンでの炒め物をすると洗い物が面倒くさい。

私の場合は割り箸・紙皿・紙コップがデフォルトになっていった。

そのまま捨てればいいし。

***

謎の生物たちが美味しそうなごはんをつくってくれて、疲弊していた顔がだんだん健康的になり、溌剌としてくる。

こんな生き物いたらいいな~と思わせてくれる作品。

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おめーは一体何者だ。でも可愛い。

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小っちゃい奴もいる。梨を食べる姿はペットのような愛らしさがあるので、是非本編でチェックされたし。

4分弱という時間でストーリーが纏まっており、気負わずに視聴できる。

20代、特に新卒~3年目の社会人は、きっとほんのちょっとの元気をもらえる。

簡単なまとめ

投稿時期から鑑みて、去年度の卒業制作だろう。

作画に凝っているというワケではないが、押さえるところは押さえているし、どちらかというとプチストーリーを楽しむと良い。

タマネギ炒めるシーンは簡素に、完成した料理は丁寧に、という感じの意識をしているのだろうか。

緩急があるから私は観やすかった。

 

【暗めな世界のほっこり感+非日常の日常】相原ふう「おばけとこどもアニメーション」:感想と視聴のススメ【発掘シリーズ】

 

年が明け1月に入ると、卒論や卒制シーズンになる。

美大生や専門生が卒業制作として「自主制作アニメ」を投稿する時期だ。

これが私の【回顧&発掘シリーズ】の密かな楽しみで、いろいろネットを巡回して探していた中、この作品に出会った。

www.youtube.com

あらすじ(世界観)

ちょっと不思議な世界の、ごはんの準備。

本編が2分半だからあらすじもクソもないが、練られたストーリーを楽しむというよりは、ぼんやりと眺めながら世界観を楽しむことを趣(おもむき)とした作品。

この作品の魅力

引き込まれる世界観

この人は「ROOM」という自主制作アニメも「おばけとこどもアニメーション」の1年前に自身のyouTubeに投稿している。

www.youtube.com

ここでも、あの「おばけ」と「こども」が登場するのだ。

これはこれで趣深く、観た後にちょっと心が温かくなるのでオススメ。

さらに、制作者のツイッターを拝見したら分かるが、この2つの作品には(まだ?)描かれていない「おばけ」と「こども」の画が投稿されており、制作者の創造した、頭の中にある世界観の土台が盤石なことが窺える。

世界観がしっかりしていれば、視聴者も心置きなくドップリとその世界に没入できるから大事なことだ。

制作者の相原ふうさんは、楽しみながら、愛を込めて、入念に、二人が生活する世界の世界観とそのアニメ作品を制作したであろうことが、視聴者である私には感じられた。

きっと視聴した多くの人もそうで、時間をかけて練られた「魂」が入っているモノだからこそ人の心を打つアニメーションになっているのかな。

登場人物二人の関係性

「こども」に声優が充てられてはいるが、「おばけ」と会話は交わされない。

「おばけ」が「こども」にお茶を淹れてあげても、お礼は言わない。

演出上の意図であってもそうでなくても、個人的にはこれが良いと思う。

 それだけこの二人にとって「ごはんの準備をする」のは日常になっており、友人関係というよりも家族関係くらいの親密さだ。

 ここで面白いのが、この世界の二人にとっての日常の2分半のワンシーンの切り取りは、視聴者にとっては当然非日常なのだということ。

非日常だからこそ興味を惹かれ、日常だからこそ安心が生まれる。

相原ふうさんの大学の先輩である、ラーメンズ小林賢太郎氏の言葉を借りればこんな感じ。

「日常の中の非日常ではなく、非日常の中の日常を描く。一見すると異常な世界観だけど、その世界の住人たちにとってはいつもの出来事。それが心地良い。」

ラーメンズATOM』「アトムより」より)

制作者の紹介

相原ふうさんのツイッターはこちら
twitter.com

 すでにツイッターではバズっていた。相原ふうさんのクリエイター活動を応援したいという人は、下のような投げ銭BOXで応援も出来る。

aiharafu.booth.pm

まとめ

 全体的な世界観を楽むべき作品ではあるが、細部も見ると「実はよく見るとコンロが逆向き」「流しの下にあるマットの柄が好き」など、新しい発見も出来る。

短い時間だから何度も観られるし、何度も観ると新たな発見もするだろう。

創作にかけた苦労や楽しさの片鱗を妄想しつつ、たまに冷たいけれどちょっぴり温かい二人の世界観に浸りに訪れるといい。

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