未完結ブログ

「カテゴリー」からお好きな記事へどうぞ。

アニメ「NEW GAME!!」から憧れの上司像や仕事への姿勢を考えちゃう感想

f:id:mikanketsu:20190203182618p:plain

仕事で悩んでいるなら、「New Game!!」をみなさい。

私は仕事で行き詰まったときに一気見することに決めており、今回は2期の「New Game!!」をピックアップしてみた。

(1期は新卒や転職を考えている人にオススメしたい。)

NEW GAME!! 第1話「恥ずかしいところを見られてしまいました……」        

青葉が高校を卒業し、ゲーム制作会社「イーグルジャンプ」に入社してからちょうど1年が過ぎ、かつての自分のように新入社員が入社する季節がやってきた。右も左もわからない新入社員だった自分が、コウたちに助けられながら少しずつ成長し、ついに先輩になるんだと思うと、どうしようもなく胸が高鳴る青葉。緊張をほぐすために「先輩の涼風青葉だよ!よろしくね!」とイーグルジャンプの入り口で挨拶の練習をする青葉だったが、出社してきたりんの口から告げられたのは、思いも寄らない言葉だった。

しずくから新作ゲームのキャラクターコンペをすることが花見の席で発表された。

青葉「私がこの会社に入ったのは、八神さんみたいなキャラクターデザイナーになりたいと思ったからです。チャンスがあったら挑戦してみたい。それが私の夢だから。」

仕事における原点を見失いそうになった際に思い出したいセリフ。

ただの現実逃避アニメではないことを再認識。

NEW GAME!! 第2話「これじゃあただのコスプレだにゃー!」        

お花見でしずくから発表された新作ゲームのキャラコンペ。高校を卒業し、入社したばかりのコウのデザインが「フェアリーズストーリー」のキャラコンペで選ばれたように、参加すればチャンスは誰にでもある。しずくたち企画班が作った企画書を読み、試行錯誤を繰り返す青葉だったが、デザインは思うように進まない。コウの席を覗き込むとすでにたくさんのキャラ表が出来上がっていて、そのクオリティの高さに圧倒される青葉。それでも青葉は挫けずに努力を続け、ついにキャラコンペ当日を迎える。

青葉がクマの寝袋を元に軽い気持ちで描いた絵がしずくの目に止まる。

「自由に描いて欲しいからこそだよ」というしずくのコンペの意図によって、フェアリーズストーリーを彷彿とさせるコウの絵よりも、思いがけない青葉のアイデアが仮採用に。

f:id:mikanketsu:20190203051325p:plain

「PECO」はこの青葉の絵から始まる。

1期でも着ていたクマの寝袋。

0から1を生み出すのは苦しいと考えがちだけど、実は身近な何かから着想を得ていることが殆どで、着想を得られるかがセンスであり個性であり才能なのだろう。

f:id:mikanketsu:20190203053209p:plain

1期「New game!」でのクマさん寝袋

これがきっかけでコウは若干余裕がなくなり、ゆんは青葉に啓発される。

憧れの人と競争し、上周り、蹴落とさないと追い越せない。削りあいながら磨かれていく。

ゆん「うちな...正直...ほんまは落ちるの分かってて頑張ってる青葉ちゃん見てて、かっこ悪いと思ってて。はじめのこともそう。企画なんか通るわけないのに、企画書なんか作ってかっこ悪いなって。気付いたらウチだけ何も進んでへん。ウチが一番かっこ悪い。

自嘲気味に、でもそれに気付いて正直な言葉を青葉に伝えて歩みはじめるゆんも素敵。

成長をしなくなると停滞し、停滞すると退化する。

いや~2期は内容が濃厚で見応えバツグンだ!

NEW GAME!! 第3話「……うー、恥ずかしい!」 

コウと二人で調整し、決定はアートディレクターであるコウが行うという条件付きではあるが、念願叶ってキャラクターデザインを任されることになった青葉。キャラコンペで描き上げたデザインが、すでにひふみの手によって3Dモデルになっているところを発見した青葉は、デザインで質問があれば何でも聞いてくださいと話す。そんな時間があるなら早くデザインを進めるようにとコウに注意される青葉だったが、3Dモデルを前に議論を交わす先輩たちを見て、キャラデザとして何か発言しなければと焦り始める。

 責任感と焦燥感で青葉の頭が真っ暗になる若干のシリアスモード。

 ちょっと調子に乗りたくても、1年では経験の差でまだ貢献できることは限られている。

そんな自己嫌悪モードに陥りそうな青葉を見たひふみんがランチに誘うファインプレー。

ひふみんがより一層素敵な上司に成長している。

***

ねねっち「本当にスゴイって思ってもらうのって、大変なんだなぁ」

うみことの対比なシーンが印象的なプログラミングのカット。

一生懸命独学で学んでも、「へー」で流されてしまう悲しさよ。

2期は名言製造器かと疑いたくなるほど、脳裏に焼き付くセリフが多い。

 しずく「過去も含めて今の八神があるのさ。それも必要なことだったんだよ。」

ちょっとやそっとの失敗は必ず将来の糧となって積み重なるし、喉元過ぎれば熱さを忘れるもんだね。仕事で辛い時に遭遇したら思い出そう。

NEW GAME!! 第4話「この…にぶちんめ!」        

「ムーンレンジャー」は女児向けのTVアニメとして始まり、その高いクオリティから子供たちだけでなく、大人たちの支持も得て、劇場版の製作や主題歌のライブまで行われるようになった大人気タイトルである。この度、2年半に渡って続いたムーンレンジャーの主人公が交代し、新たなスタートを切ることが決まった。そして初代としてのファイナルライブが開催されることになり、ムーンレンジャーの大ファンであるはじめは、何とかチケットを手に入れようと販売サイトにアクセスを試みるのだが……。

f:id:mikanketsu:20190203051450p:plain

ひふみん@にぶちん

コウにかわってひふみんがキャラ班のリーダーを引き受けることに。

指導者や管理者になるにあたっての覚悟だとか自信だとかの話が想起されてしまった。

仕事量も責任も増えるのだから、不安が全くないような肝が据わりきっている人は滅多にいないだろう。誰だって不安だ。

だからこそ後押しするコウの言葉を信じることができたひふみんは素敵。

NEW GAME!! 第5話「や、変なとこ触らないでよ!」        

キャラリーダーとして勇気を振り絞り、青葉とゆんに3Dモデルの進捗確認をするひふみ。コウがキャラリーダーだったときのクセで、つい締め切りのサバを読んでしまう青葉だったが、特に疑うこともなく青葉の言葉を信じてしまうひふみの様子に、慌てて本当のことを伝える。その一方で本当は間に合わないのに、大丈夫だと返事をしてしまったゆんは、結局最後まで遅れてしまいそうなことを言い出すことができず、本当のことを打ち明けたときのひふみが落ち込んでしまうのではないかと頭を悩ませる。

あ~仕事における締切系の報連相はあるあるだわ~

保険かけてサバ読んで報告する処世術を身につけると、嫌な意味で大人になったことを実感してしまうよね。

ここもひふみんがゆんにお説教するところが見所だね。

f:id:mikanketsu:20190203055133p:plain

「進捗どうですか~」

NEW GAME!! 第6話「あぁ……すごいなあ……」 

キャラクターデザインの仕事も順調に進み、ボツや微調整のチェックも含めて、青葉のデスクに積まれていくプリントの数々。厚い紙束となったプリントを見て、キャラクターデザイナーとして着実に仕事を進めていることへの実感から思わず微笑む青葉。ゆんやはじめと話をしているうちに、ゲーム雑誌などに掲載される宣伝用のイラストであるキービジュアルの話題になり、コウからもメインのキャラクターデザイナーとしてキービジュアルを描くことになると告げられた青葉は、プレッシャーを感じてガタガタと震え出す。

キービジュアルは青葉ではなくコウが描くことに。

コウは納得しておらず、青葉も自分を納得させるためにコンペを設けるようにしずくにたのむ。

青葉が納得するための儀式というか、全力で介錯されるための出来レースだ。

一見何の得にもならない行為だけれど、自分の中の未熟さや悔しさ、矛盾、もやもやを納得して昇華させるには必要なのだ。

ここで悔しい気持ちを持てないなら成長はない。

青葉の仕事の流儀のようなものだろう。

コウ「私がコンペの時に青葉を助けてなければ、青葉にこんな半端な想いをさせなくて済んだのに...」

青葉「子ども扱いしないでください!確かに八神さんの助けが無ければ、キャラデザは通ってませんでしたけど、それを受け入れたのも私の意思です!」

青葉「ちょっとくらい辛いことがあっても、私は我慢できます!」

好きな仕事に就いているからこその言葉だと思う。

こんな言葉を憧れだった今の上司に言えるなんて、青葉は幸せ者である。

結果的にはコウがキービジュアルを担当したが、青葉の成長が画を比較することで視聴者に伝わる。

f:id:mikanketsu:20190203051601p:plain

八神コウのキービジュアル

f:id:mikanketsu:20190203051627p:plain

没になった青葉のキービジュアル

NEW GAME!! 第7話「凄く熱い視線を感じる」    

うみこと一緒に面接官としてプログラマーの採用面接をすることになった青葉。プログラムのことがわからない自分が面接官をやっても大丈夫なのかとうみこに聞く青葉だったが、面接にやってくるプログラマーの実力はすでに把握しており、今回の面接は素行調査のようなものだという。よく状況を掴み切れないまま、面接室の入り口のドアがノックされ、ゆっくりとドアが開く。失礼しますという元気の良い言葉と共に面接室に入ってきたのは、青葉がとてもよく知っている人物で……。

ねねっちのような志望動機は、人生の大半を捧げる仕事や生き方を支える柱になるし、立ち戻るべき原点になる。

薄っぺらい就活本にあるようなステレオタイプ的な描写ではなくて、ねねっちのストーリーを垣間見ている視聴者は、面接を応援したくなっちゃう。

本筋では新入社員=新キャラクターが2人登場し、2期の折り返しを嫌でも感じてしまうよぉ~。

NEW GAME!! 第8話「メイド喫茶がいいと言ったんだよ」 

専門学校からインターンとしてやってきた紅葉やツバメたちの歓迎会の幹事をすることになった青葉たち。はじめが言うには、歓迎会や送別会、そして忘年会などの幹事の責任は重く、上手くこなせたかどうかで評価も変わってくるという。もし失敗してしまったらと緊張を隠せない青葉に対して、失敗だけでなく、成功し過ぎても、この先ずっと幹事をやることになると告げるはじめ。しかし、成功し過ぎず、失敗し過ぎずという中途半端な結果では記憶に残らない社員になってしまうのではと青葉は頭を抱えてしまう。

もみじ&ひふみんという「コミュ障&コミュ障」ペアの雰囲気が地味に好き。

ももちゃんマメだなぁ。

新しい環境で名前を覚えるのは確かに大変ことで、紙に書いて覚えようとするその姿勢は真面目で良いと思うし、私も紙に書いて人の名前を一致させようとしたことがあるから共感した。

一瞬で見逃しやすいが、キャラ班(+はじめ)で盛り上がっている様子を安心しながら見つめるコウの視線は、頼りがいがある上司のソレだったよ。

f:id:mikanketsu:20190203055204p:plain

輪に入らず敢えて立ち去る空気の読めるコウ

NEW GAME!! 第9話「シャツくらい着なよ!」    

遊園地にインセクトファイブのヒーローショーを観にやってきたはじめとゆん。ショーが終わり、握手をするために列に並んでいたはじめに声をかけてきたのは、はじめが高校生の頃の友達アッキーだった。東京に出てきて何をやっているのかを聞かれたはじめは、ついデザイナーをしてるとはぐらかしてしまう。おまけにアッキーの前では恥ずかしくて、ヒーローたちと握手をすることもできないはじめ。そんなはじめをからかうゆんに対して、はじめは高校生の頃にアニメや特撮が好きなことを隠していたと告げる。

f:id:mikanketsu:20190203172959p:plain

「シャツくらい着なよ!」

前半は他人の目を気にしていたゆんとはじめの休日の話。

後半はねねっちとなるっちの軽い衝突。

イーグルジャンプの既存メンバーと専門学生の新人2人がどう馴染んでいくか。

考え方の相違は当然あるが、気を遣おうとする青葉たちと、尖った未熟さが隠せない「なるっち」と「もも」のそれぞれの立場が描かれる。

なるっちの良い子ちゃんぶりに処世術の高さを感じてしまい、その腹黒さからちょっと好きになれなさそうかなと思ってしまった。

もちろんねねっちの発言も真面目な人を小馬鹿にしていると捉えられかねないケド。

でも実際社会に出てみると、こーゆー強(したた)かな振る舞いをする人はいる。

それに対する応答として、持ち前のねねっちのポジティブさは見習いたい。

ヘコんでられないしね。

一生懸命取り組む過程と、そこから生み出す結果で見返してやろう!

...そう思わせてくれた9話だった。

NEW GAME!! 第10話「どんどんリアリティが薄くなっていくんだよ」         

はじめが作った仕様書の通り、PECOの中に組み込むミニゲーム「だるまさんが転んだ」のプログラムを組み上げるツバメ。しかし、出来上がったゲーム画面を見たはじめは何かが物足りないと告げる。何が物足りないと感じる原因なのかがわからずに、青葉やゆんに意見を求めるはじめだったが、違和感を解消するには至らない。ツバメにも作っていて面白かったかどうかを尋ねたはじめは、ツバメから出てきた何気ない一言で足りなかったものを理解するのだが、仕様書を描き直してしまうと納期に間に合わないと言われて……。

責任の所在と納期を気にするなるっち。

仕事に於いて重要だし、言いにくくても訊かなければいけないことだ。

それに個人の評価がかかっているから気にしてしまうもの。

対して、はじめや青葉は妥協しないモノ作りを追求しているからこそ、「仕様書通りにやりました」では終わらせないのだ。

他人と比較して自分の優位を感じたいという心は人間として当然。

しかも資本主義社会で競争原理による切磋琢磨によって商品の精度は向上する。

なるっちはなるっちで並々ならぬ覚悟を以て上京しているからこそ、生き残りたいという気持ちが表れているのだと思う。

うみこさんのフォロー(=企画と上手く付き合うべし)はさり気なくも印象に残る一級品なので、私も忘れずに胸に刻もう。

うみこ「すんなり完成の方向が見えれば楽なんですが、そうはいかないのも現実です。それでも、いいものを作りたいという気持ちは忘れずにいたいですね。」

***

ボードゲームを妥協してうみこに提出しようとしたねねっちが、手伝えることを探して社内を巡回しながら、プロでも修正を繰り返していることを知るのも良いよね。

なるっちもツンデレになりつつあり、うみこの株もストップ高不可避。

うみこ「みんな限りある時間の中で目標に近いものを作ろうとしています。さくらさんの目標通りではないにしても、これは合格点です。でも、もしさくらさんの中で納得がいかないのなら、最後まで作ってみてください。その時はまた見てあげますよ。」

f:id:mikanketsu:20190203172646p:plain

NEW GAME!! 第11話「心になにか抱えてるのか」             

プログラムの仕事を次々に片付け、うみこに作業のスピードが速いと褒められたツバメは得意顔でねねを見る。そんなツバメの態度が面白くないねねは、PECOのデバッグ作業の合間に読んでいたプログラムのコードの中で、ツバメの書いたコードの一部が、もっと短くまとめることができるのではないかと指摘する。うみこの評価が下がってしまうかもしれないと焦り、余計なことを言うなとねねに怒るツバメ。その場に居づらくなってしまい、キャラ班のブースへとやってきたねねは、紅葉にツバメがどんな人なのか聞くのだが……。

なるっちがなぜ評価を気にしているのかが判明する話。

会社というのは組織であり、組織には上下関係が存在するが、その関係性という色眼鏡を取っ払ったとき、組織を構成するのは一人一人の「人」であることに気付く。

そしてその「人」が入社するまでのバックボーンには十人十色の人生物語(ストーリー)がある。

改めてそんな事実を認識すると、個性的な一人一人の人生の集合体が組織であり、組織は人間社会において一人では出来ないような規模の生産活動(経済活動)をすることが出来るのだ。

NEW GAME!! 第12話「ぜひ買ってくださいね!」             

ついにPECOがマスターアップを迎え、お披露目とタイトルの宣伝を兼ねた完成記念イベントが開催されることになった。PECOの前評判は高く、ステージ前に設けられた客席は満員御礼。会場へとやってきた青葉たちは関係者席に腰を下ろし、しずくやコウが登壇するステージを眺めていた。前もって決められていた段取りとは異なるサプライズなどがありつつも無事にイベントは終了し、控室に集まった一同。そこで聞かされたのは、思わず耳を疑ってしまうような、にわかには受け入れがたい話だった。

コウがフランスへ行く。

そしていつの間にかもみじと青葉の関係性も(若干)良くなってる!?

2人の関係性や、青葉という後任を見守って育てるのも上司の仕事だとコウは考えたのかな。

f:id:mikanketsu:20190203180126p:plain

印象的すぎるほど印象的な、サプライズ登壇のシーン

コウ「ごめんな、自分勝手な上司で。」

青葉「...そうですよ。本当に、自分勝手な上司だと思います。八神さんは会社の看板なんですよ。自覚はあるんですか?それにいつもテキトーだし、それでいてナイーブだし、振り回されるこっちの身にもなってください!」

青葉「八神さんは馬鹿野郎ですよ。八神さんは私の目標なんです。今だって十分凄い人なのに。なのに、どうしてフランスへ行っちゃうんですか。」

コウ「私を、もっと上手くなりたいって気にさせてくれたのは、青葉なんだよ。キービジュアルのコンペ前日の夜、頑張っている青葉を見て、私も負けてられないって思ったんだ。今に満足していた私に、青葉が思い出させてくれたんだ。私、もっと上手くなりたいんだって。」

ここからラストまでは実際に見て欲しい。

 全体の感想

1期も2期も、この作品は仕事へのモチベーションを上げてくれる。

仕事というリアルな設定にも拘わらず、女性だけの職場という現実逃避可能な設定もあり、仕事で行き詰まったら見ることをオススメする。

憧れの上司として(阿波根うみこ・八神コウ)

この二人は管理職的な立場であり、後輩の育成にあたって見習うべきところがアニメ中で散見される。

そんな場面の一部のセリフを、各話で抜粋してみたのがこの記事の試みだ。

後で見返す用として「自分用の備忘録」という意味も実はこの記事にあったりしちゃうのですよ。

アニメやマンガという媒体で描かれるこの二人の上司像は、一般的に世間から「理想的な上司だね」と言われるものであるから、私のような現実逃避したい迷い猫が食いつきやすいのだと思う。

この二人を見て、「良い上司だな」と感じたなら、それはもし自分が管理職になる上でのロールモデルになり得ることを意味する。

現実の仕事に応用できそうなヒントが詰まっているからこそ、単なる現実逃避のアニメとしてだけではない視点でも、「New Game!!」を見て欲しいのだ。

各キャラの仕事への姿勢

1期と比べて2期は重めで内容が詰まっている。その分視聴による満足度は高い。

青葉はコウに憧れて、自分もああなりたいという思いで入社している。

その軸はぶれることなく、例えばコンペでも確実に青葉は八神コウの背中を追って成長している。

そんな青葉の頑張りは、ゆんやねねっちにも影響を与えていて、自分の周りの環境も結果的に同じ方向を向いて成長させている。

結果的に、ただ効率や打算を追求するよりも働きやすい環境を手に入れているのだ。

ひふみんもキャラ班のリーダーを担い、コミュ障を克服しようと成長している。

あと可愛い。

そして、2期で忘れてはならないのが専門学校から来た「もも」と「なるっち」だ。

彼女らは彼女らなりに一生懸命で、イーグルジャンプの一員として馴染むまでがストリーとして描かれているし見所になっている。

2期の7話過ぎから登場人物が揃いはじめると、1期も含めて個々人が個々人なりの背景とともに仕事への情熱や哲学、原点のようなものを抱いていることに気付かされた。

その個性的なバックボーンが作品のキャラ付けになっていつつ、みんな前向きだからこっちもポジティブな気持ちを頂ける。

だからこそこの記事の冒頭で書いた、『仕事で行き詰まったら「New game!!」をみなさい』というオススメに終始するのですよ!

 

 

もう一度最後にこの言葉で締めよう。

仕事で悩んでいるなら、「New Game!!」をみなさい。

【一人暮らしの不摂生な生活の人へ】野上真生「しあわせごはん」:感想と視聴のススメ【発掘シリーズ】

サムネイルで既に飯テロな自主制作アニメ。

f:id:mikanketsu:20190114224857p:plain

www.youtube.com

作品と作者の概要

制作者名:野上真生(Nogami Mao)

本編:3分40秒

作品あらすじ:日々の仕事と生活に疲弊したOLの元に、ムー〇ン似の生物と小っちゃい丸い生き物が現れてごはんをつくってくれる話。

卒業制作に作ったものです。

少しでも誰かの心とお腹をくすぐれます様に。

YouTubeの概要欄より)

くすぐられちゃった。

この作品の魅力

一人暮らししている人にはぶっささる内容でしょ。

仕事が忙しいと家事全般をする時間がなくなって、気付くと足の踏み場がなくなる。

私の部屋も一時期こんな感じだった。

f:id:mikanketsu:20190114224933p:plain

独り暮らしは皆さんこんなもんですよね...?

コンビニ飯やデリバリーなら片付けは楽でいいけど、鍋物やフライパンでの炒め物をすると洗い物が面倒くさい。

私の場合は割り箸・紙皿・紙コップがデフォルトになっていった。

そのまま捨てればいいし。

***

謎の生物たちが美味しそうなごはんをつくってくれて、疲弊していた顔がだんだん健康的になり、溌剌としてくる。

こんな生き物いたらいいな~と思わせてくれる作品。

f:id:mikanketsu:20190114225027p:plain

おめーは一体何者だ。でも可愛い。

f:id:mikanketsu:20190114225100p:plain

小っちゃい奴もいる。梨を食べる姿はペットのような愛らしさがあるので、是非本編でチェックされたし。

4分弱という時間でストーリーが纏まっており、気負わずに視聴できる。

20代、特に新卒~3年目の社会人は、きっとほんのちょっとの元気をもらえる。

簡単なまとめ

投稿時期から鑑みて、去年度の卒業制作だろう。

作画に凝っているというワケではないが、押さえるところは押さえているし、どちらかというとプチストーリーを楽しむと良い。

タマネギ炒めるシーンは簡素に、完成した料理は丁寧に、という感じの意識をしているのだろうか。

緩急があるから私は観やすかった。

 

【暗めな世界のほっこり感+非日常の日常】相原ふう「おばけとこどもアニメーション」:感想と視聴のススメ【発掘シリーズ】

 

年が明け1月に入ると、卒論や卒制シーズンになる。

美大生や専門生が卒業制作として「自主制作アニメ」を投稿する時期だ。

これが私の【回顧&発掘シリーズ】の密かな楽しみで、いろいろネットを巡回して探していた中、この作品に出会った。

www.youtube.com

あらすじ(世界観)

ちょっと不思議な世界の、ごはんの準備。

本編が2分半だからあらすじもクソもないが、練られたストーリーを楽しむというよりは、ぼんやりと眺めながら世界観を楽しむことを趣(おもむき)とした作品。

この作品の魅力

引き込まれる世界観

この人は「ROOM」という自主制作アニメも「おばけとこどもアニメーション」の1年前に自身のyouTubeに投稿している。

www.youtube.com

ここでも、あの「おばけ」と「こども」が登場するのだ。

これはこれで趣深く、観た後にちょっと心が温かくなるのでオススメ。

さらに、制作者のツイッターを拝見したら分かるが、この2つの作品には(まだ?)描かれていない「おばけ」と「こども」の画が投稿されており、制作者の創造した、頭の中にある世界観の土台が盤石なことが窺える。

世界観がしっかりしていれば、視聴者も心置きなくドップリとその世界に没入できるから大事なことだ。

制作者の相原ふうさんは、楽しみながら、愛を込めて、入念に、二人が生活する世界の世界観とそのアニメ作品を制作したであろうことが、視聴者である私には感じられた。

きっと視聴した多くの人もそうで、時間をかけて練られた「魂」が入っているモノだからこそ人の心を打つアニメーションになっているのかな。

登場人物二人の関係性

「こども」に声優が充てられてはいるが、「おばけ」と会話は交わされない。

「おばけ」が「こども」にお茶を淹れてあげても、お礼は言わない。

演出上の意図であってもそうでなくても、個人的にはこれが良いと思う。

 それだけこの二人にとって「ごはんの準備をする」のは日常になっており、友人関係というよりも家族関係くらいの親密さだ。

 ここで面白いのが、この世界の二人にとっての日常の2分半のワンシーンの切り取りは、視聴者にとっては当然非日常なのだということ。

非日常だからこそ興味を惹かれ、日常だからこそ安心が生まれる。

相原ふうさんの大学の先輩である、ラーメンズ小林賢太郎氏の言葉を借りればこんな感じ。

「日常の中の非日常ではなく、非日常の中の日常を描く。一見すると異常な世界観だけど、その世界の住人たちにとってはいつもの出来事。それが心地良い。」

ラーメンズATOM』「アトムより」より)

制作者の紹介

相原ふうさんのツイッターはこちら
twitter.com

 すでにツイッターではバズっていた。相原ふうさんのクリエイター活動を応援したいという人は、下のような投げ銭BOXで応援も出来る。

aiharafu.booth.pm

まとめ

 全体的な世界観を楽むべき作品ではあるが、細部も見ると「実はよく見るとコンロが逆向き」「流しの下にあるマットの柄が好き」など、新しい発見も出来る。

短い時間だから何度も観られるし、何度も観ると新たな発見もするだろう。

創作にかけた苦労や楽しさの片鱗を妄想しつつ、たまに冷たいけれどちょっぴり温かい二人の世界観に浸りに訪れるといい。

f:id:mikanketsu:20190114035546p:plain

映画『千年女優』ネタバレあらすじと感想:現実と虚構の溶け合う世界観

f:id:mikanketsu:20190103205204p:plain

映画「パプリカ」から今敏平沢進の組み合わせにドップリはまってしまった。

千年女優」は当時ネットで配信されているサイトが無く、ディスク購入しか視聴の手段がなかった(今はNetflixYouTubeムービーで見られるようですね)。

そんなわけで、ついに買った。

このページでは、チャプター毎に分割したあらすじと感想を紹介。

あらすじは黒文字で、私の感想や考察は青文字で書いてあるのでご参考に。

わりとがっつりネタバレしているので、原作未視聴の方は閲覧にご注意を!

作品あらすじ

女優・藤原千代子はかつて一世を風靡した銀幕の女王。

 ※銀幕:映画スクリーン

この「千代子」の人生を覗いていくのがこの作品の大きな流れ。

千代子は三十年前に忽然と表舞台から姿を消して、人里離れた山荘で暮らしていた。

そして彼女の元に、とある「鍵」が届けられるところから物語が進んでいく。

届けたのは、ドキュメンタリー制作を企画する映像制作会社の「立花」という男。

なぜ千代子は女優を引退したのか。

届けられた「鍵」とは一体何なのか。

立花という男は何者なのか。

現実と記憶が交錯して映像が展開されながら、ひとりの女性の生涯と強い思いを描いた作品。

f:id:mikanketsu:20190103214313p:plain

ストーリー紹介と感想

人を選ぶアニメ映画であることは確実。

作風や世界観が気になる人は、目次にある「★」のチャプターだけでも見て適性を検討してほしい。

派手なアクションは無いし、大団円で終わることもない。

ひとりの女性の人生を垣間見ながら、その生き方や貫く想いを「感じて」楽しむ映画作品となっている。

  • 「時間の儚さと長さを感じたい」
  • 「人生について想いを馳せたい」
  • 「自分の現在の生き方・生き様を考えたい」

というような人は、きっとこの世界観に浸りながら楽しめるはず!

 

「藤原千代子」の人生も「立花源也」の人生にも共通しているのが、誰かの存在無しにはその人の人生は語れないということだ。

自分が死ぬときに後悔しない人生とは、どんな人生だろう?

考えながら、感じながら、自分と対話するように私はこの作品を鑑賞した。

1:プロローグ(見果てぬ夢)

ロケットに乗る千代子のシーンから始まる。

千年女優」というタイトルのイメージとは大きくかけ離れていて、最初はきっと戸惑うはず。

月面からの発射準備のシーンは、まるで睡蓮のよう。

実はこのシーン、最初から壮大な伏線となっており、2週目に視聴すると今敏監督による作中の"メタファー"や演出技法に感嘆することとなる。

f:id:mikanketsu:20190102030647p:plain

2:オープニング

タイトルが映るシーンにて巻き戻しされている背景は、これから展開される物語の伏線となっている。

と同時に、立花源也がインタビューで作成し完成したドキュメンタリーとなっている!

f:id:mikanketsu:20190102030317p:plain

かつて千代子がいた銀映撮影所の閉鎖に際して、ドキュメンタリー制作を企画している「立花」とカメラマン「井田」が千代子の山荘を訪れる。

そして立花の手から千代子へと「鍵」が渡されて、思い出を辿る物語がはじまる。

2週目以降に見ると、このような千代子の人生がひとつのドキュメンタリーとして後世に残る形とした立花の仕事に安心するし、私もこのような後世への「仕事」をしたいと常々感じざるを得ない。

3:千代子誕生

インタビューが始まり、綿密な静止画によって女優にスカウトされるまでが簡潔に描かれる。

株式会社銀映の専務と千代子の母のやり取りが始まる瞬間から、この映画の記憶と現実が交錯していく。

f:id:mikanketsu:20190102031531p:plain

専務と母のやりとりに、立花と井田が同席している。ここから交錯していく。

4:邂逅

千代子が一生かけて追うこととなる「鍵の君」が登場。

後に判明するが、彼は民権派の思想犯として官憲に追われる身。

その行く手をこれからひたすら遮る「傷の男」も同時に登場する。

なにより、千代子が乙女をしているのが可愛い。

頬を染めたり、顔真っ赤にしちゃったりなんかして。

千代子は「一番大切なものを開ける鍵」を受け取ることとなるのだが、本当は何を開けるものかは千代子はわかっている。

一瞬、男の持ち物が映るのだから。

f:id:mikanketsu:20190102032558p:plain

でももう一度会いたいから、千代子は答え合わせを明日に引き延ばした。

そして千代子の人生を通じて、開ける対象となる「一番大切なもの」が構成されていく。

5:★君を慕いて

血の包帯を見つけると、急かすピアノのBGMが鳴る。

蔵に匿(かくま)っていた鍵の君が見つかって、駅へ行ったそうだ。

雪の中疾走する千代子は睡蓮の花言葉「純真」を彷彿とさせる。

そしてこれがモチーフの銀幕作品があることに視聴者が気づき、さらに現実と記憶が混交する。

銀幕作品のタイトルはチャプター名と同じく「君を慕いて」。

f:id:mikanketsu:20190102042251p:plain

雪の中疾走する千代子

6:傷痍の勇士

今度は「傷痍の勇士」という作品の記憶と重なる。

鍵の君を追うため、女優となって満州へ渡る千代子。

同時に、株式会社銀映の専務の甥である「大滝」に目をつけられる。

そして白衣の千代子は、鍵の君を追う自分と役を重ねて、名演技の片鱗をみせる。

そして有名なセリフ「一目あの人に逢いたいんです」

f:id:mikanketsu:20190102043022p:plain

「一目あの人に逢いたいんです」

そして詠子と大滝がなにやら企んでいるような、不穏な動き。

これも千代子の人生に影響を与える出来事の伏線。

7:馬賊襲来

占い師の言葉を信じ、撮影を放っぽいて北へ向かう千代子。

ピストルを持った馬賊が、千代子の乗る列車を襲う。

少々自分勝手なこの行動力は、千代子の純真無垢さと鍵の君への想いの強さを視聴者に思わせる。

8:あやかしの城

列車の扉を開けて脱出すると、舞台は満州から一転して時代も遡って日本へ。

f:id:mikanketsu:20190102044048p:plain

「あやかしの城」では殿を救おうと追う姫の役。

あやかしはチャクラを思わせる糸車を回す姿で現れ、千代子に呪いをかける。

糸車は解脱できない輪廻の呪縛を表象するもので、千代子の何かを呪縛することが暗示されることが読み取れる。

老いの炎に身を窶(やつ)す呪いは、作品中だけでなく、現実の千代子を縛り付けることに。

9:紅の華

殿を助けるために立花と馬に乗る。

ここもこの逞(たくま)しい千代子のシーンが有名だろう。

f:id:mikanketsu:20190102044443p:plain

一旦現実のインタビューの世界に戻され、ここでこの映画の描くもの、描くシステムが視聴者に浸透していく

明確な境界線は描かれず、水の中に絵の具を垂らしたマーブリングのように、濃淡のある範囲を描く。

明確な境界がないことは視聴者の理解を難しくするが、その代わりに想像力を喚起し、複雑な事象を芸術的に描くことが出来る

映画を視聴している時間、視線、頭の中、心を委ねて「千年女優」の世界観に浸かってみよう!

10:千代子の忍法七変化

f:id:mikanketsu:20190103194015p:plain

ここではアクション活劇が挿入され、ハラハラするようなカメラワークで我々視聴者を作中作の目まぐるしい世界に没入させる。

千代子の演じる役柄に共通しているのは、やはり愛する人を追うこと

11:島原純情

忍者から一転して花魁の役を演じる。

場面が突然変わったように感じるが、千代子の愛する人を追う気持ちは途切れておらず、現実には戻らない。

そして「あやかしの城」のあやかしがここにも現れてくる。

着実に千代子の人生が縛られていく。

f:id:mikanketsu:20190103195052p:plain

12:雪の絶唱

「鍵の君」が登場し、顔が明らかになる。

千代子がはじめて鍵の君と出会ったときと重なって、やはり彼は追われ人。

初めて会った時と同じように、「傷の男」が彼を追いかける。

別れ際に鍵の君は、千代子と蔵で再び落ち逢おうと囁く。

再び、約束したあの蔵で千代子と鍵の君は会えるのだろうか。

13:★明治の風

作中一二を争うぐらいに見所な疾走シーン。

千代子が馬に跨がってから、明治の鮮やかな時代を駆け抜ける爽快感ったらない。

馬に乗った千代子が版画的な世界を駆け抜ける平面的な構成が美しい。時代は江戸から明治に移っていき、乗り物も馬から人力車を経て自転車となる劇的な進化をとげる。

千年女優「千年手解」より)

 

そして「大戦の痕跡」へと接続する。

14:大戦の痕跡

有名な蔵の絵のシーン。

戦争は全てを焼け野原にして、街や家や人を容赦なく破壊して奪い去っていく。

瓦礫だらけの蔵の跡地の中で、千代子は見つけるべくして「それ」を見つける。

彼は千代子の絵を描いていたのだ。

f:id:mikanketsu:20190105235753p:plain

f:id:mikanketsu:20190105235630p:plain

千代子はこの絵を後生大事に手元に残す。

思わず私も「おお!」と声を上げてしまった。

ここが印象に残っている人は多いと思う。

15:銀幕のマドンナ

戦後の復興期、映画は日本人の心を元気づけた。

多忙な生活とともに仕事をこなしていくと、千代子は銀映を代表する大女優となっていく。

経験を積んで大女優となることは、幼さと純真さを失いつつ、成熟するということでもある。

それでも鍵は首から提げているし、蔵の絵も大事に額に入れておく千代子だった。

16:夢の終焉

千代子は「鍵」をなくす。

それは夢追い人の終わりを意味するように、最初は尾を引かれながらも、結局千代子は「大滝」と結婚する。

しかし結婚後、大滝の部屋から「鍵」が見つかる。

実は千代子と結婚するために、大滝と詠子らの計略で隠されていたのだった。

他人の思惑や嫉妬に影響されるのも、また「人生」なのだと思わされる。

f:id:mikanketsu:20190103205013p:plain

17:★千年の疾走

なんの因果か、鍵を見つけ出したら、「鍵の君」を追っていたかつての官憲「傷の男」が老いた姿で贖罪しに千代子の前に登場する。

時を超えて、鍵の君から手紙をもらうと、そこに両者の「想い」が溢れ出る。

千代子は疾走し、場面も今までの現実世界と作中世界が錯綜する。

鍵の君の絵を見た千代子は、現実なのか虚構なのか...

f:id:mikanketsu:20190103204744p:plain

背景は「鍵の君」からの手紙。

この疾走シーンの錯綜・混交が気持ちいい。

18:ダ・カーポ(Da Capo)

「冒頭に戻る」という音楽用語よろしく、場面は冒頭プロローグの月面発射のところ。

また地震が起こって千代子は危険な目に遭うが、かつての「立花」が千代子を助ける。

インタビュアーの立花は、千代子の命の恩人だったのだ。

千年女優」は千代子の生涯に焦点を当てた作品といえる。

だからこそ千代子の周りの人々の人生も必然的に描かれることになる。

この映画は、誰もが当事者として自分が主役の人生を歩んでいるのだという当然の事実を顕在化し、白日の下に晒すのだ。

それでもなお、自分の人生の主役は自分であっても、他人の人生から見た自分は脇役に過ぎないことを私たちは知っている。

立花源也の人生は、もう藤原千代子の存在無しでは語れないのだ。

助かったものの、ふと見たヘルメットに映る自分の姿はかつての蔵の絵の若々しい自分ではない。

あのあやかしの呪いが、ここで千代子に直面するのだ。

再び鍵は千代子の手を離れて、女優も引退することとなる。

また鍵を手にするのは、立花がこのインタビューをするまでの三十年後だ。

f:id:mikanketsu:20190103204019p:plain

目のシワやほうれい線も目立ってきた。もうあの頃の千代子ではないのだ。

19:女優の生涯

現実世界に戻ると、千代子は今までの人生を総括する。

あやかしの正体。

引退の理由。*1

千代子にとっての「鍵」。

人生のクライマックスとともに、この作品もクライマックスに向かっていくのが嫌でも感じられるだろう。

私(筆者)は感じたよ。

20:エピローグ(映画の死)

大滝は、老いた「傷の男」から「鍵の君」の行方を聞かされていた。

傷の男が鍵の君を拷問で殺していたのだ。

千代子はずっと、逢うことができない幻影を追って生きてきたことになる。

千代子の人生の幕が下りようとすると、賛否両論あり色んな考え方ができる一言でこの映画は締めくくられる。

「だってあたし、あの人を追いかけている私が好きなんだもの」*2

f:id:mikanketsu:20190103204559p:plain

21:エンディング

今敏平沢進はどうしてこうもマッチしてしまうのか。

「ロタティオン(LOTUS-2)」*3今敏監督が亡くなった際、出棺で流れた曲であることは有名。

千代子のラストのセリフから一呼吸おいて流れるEDを是非感じて欲しい。

きっと印象が変わるはず。

受賞について

●第5回文化庁メディア芸術祭 アニメーション部門 大賞受賞

(同時受賞作品『千と千尋の神隠し』)

同時受賞が宮崎駿の「千と千尋の神隠し」だと、そっちが話題として大きく扱われちゃうよなぁ~

蛇足だけど、「文化庁メディア芸術祭」はニコニコのタグで巡回すると面白い作品に出逢えることがあるからオススメ。

 

●第33回〈スペイン〉シッチェス映画祭 最優秀アジア映画作品賞受賞  ORIENT EXPRESS AWARD

 

●第6回〈カナダ〉ファンタジア映画祭 最優秀アニメーション映画賞 芸術的革新賞受賞 BEST ANIMATION FILM  THE FANTASIA GROUND-BREAKER AWARD(For Artistic Innovation)

簡単な考察

Q.結局「鍵」って何だったの?

A.本当は「鍵の君」の荷物を開けるための鍵。

しかし千代子が譲り受けて、身につけていたり手放したりすることで、「鍵の君」の想いを想起させるトリガーとなっている。

「『一番大切なもの』を開ける鍵」。

千代子にとって「一番大切なもの」は、その強く一貫した鍵の君への思いであり、その思いは演技力にまで影響を与えて、大女優と呼ばれるまでに「藤原千代子」の人生を形作った。

実際、三十年越しに鍵が千代子に届けられると、忘れかけていた「鍵の君」の記憶が開かれた。

最後に

作品の概要を購入前に知りたかったのが、このページを書いたきっかけだ。

本筋と離れているサイトページや、誤字ってて「藤原千代子」が「篠原千代子」になってしまっているサイトページがトップにある中で、自分が有益なものを作れないかと考えたのがこの記事のきっかけ。

今敏監督の他作品との比較や、監督の言葉を深掘りするともっと「千年女優」を楽しめるはずなので、加筆する可能性は大。

というわけで、このブログが少しでも今敏監督の「千年女優」に興味がある方の役に立てていれば幸い。

さて、ここまでの自分の人生を振り返ってみよう。

 åå¹´å¥³åª [Blu-ray]

*1:あやかしの正体や女優引退の理由は、千代子の口から語られる。映画を実際に見て確認してみよう!あまりにあっけないが、わからないこともない理由。ぶっちゃけ、ほぼ答えをブログに書いちゃっているケド...

*2:「だって私」ではなくて「だってあたし」と言っているからこれで表記の間違いは無いハズ。違ってたらご指摘ください。

*3:ローテーションではなくロタティオン。

【2018秋アニメ】13話視聴の感想振り返りまとめ【やが君】【青ブタ】

ブログで追っている残りが「やが君」と「青ブタ」なので、この記事で2018年秋アニメは一段落。

「風強」は更新され次第。

 「やがて君になる」第13話『終着駅まで/灯台

演出に拘っていたり、伏線を張り巡らせたりしているアニメは良作の傾向がある。

それは作品自体が面白くなるからというのもあるが、私のような視聴者が細かい「きっかけ」について考察できるからだ。

そんな土壌があると世界観にハマる人が出てきて、そのコンテンツは繁栄する。

やが君もそんな仕掛けが鏤(ちりば)められていて、自分で視聴するだけでなく他の人の考察や感想も観るという、二重の意味で楽しい13週だった。

気になるやが君の考察ブログを閲覧してはいるが、そういう意味でニコニコ動画にて匿名で逐一登場する花言葉のコメントさんには、作品により一層没頭するきっかけをくれて本当に感謝している。

***

生徒会劇までやらないのかーい!2期希望!

こまかい描写については、挙げるとキリがない。

例えば、

f:id:mikanketsu:20190104045844p:plain

姉を演じきらなきゃいけない。生徒会劇が終わったら...不安な燈子の、半分影がかかった顔が、

f:id:mikanketsu:20190104045855p:plain

侑から連絡きたらコレだもん。不安の影が消えている!

こーゆーのが随所に設定されているし、その描写がいちいち見入るれべるの美しさだもんで。

あとは水族館の水槽の作画も恐ろしい気合いを感じたなぁ。是非見られたし。

f:id:mikanketsu:20190104053140p:plain

「やが君」は光を用いたメタファーが終始秀逸だと思う。

***

最後Cパートの乗り換えシーンについては、私がとらえた内容に近い文章が纏められていたので、こちらのブログを引用させていただく。

www.anime-kousatsu.com

光のメタファーはここでも用いられているはずだと私は思う。

終着駅までの「乗り換え」は、結末驀地の転換を意味する。

その結末が示すものは、「やが君」レベルになると1つだけであるはずがない。

物語の落ち着く先で、登場人物全員がハッピーエンドになることは、あるのか?ないのか?

そしてこの「光」は、誰にとっての希望なだろうかね。

f:id:mikanketsu:20190104051929p:plain

***

青春ブタ野郎はバニーガール先輩の夢を見ない」#13『明けない夜の夜明け』

続きは映画で...ってことですかい...? これは映画を観ざるをえないじゃないか!

歌詞職人がOPもEDも参上しており、ニコニコで観る最終話の雰囲気は温かい。

***

さて、花楓の記憶が戻ったと同時にかえでが消えてしまう。

咲太は精神的に追い詰められて号泣し、疲弊してしまう。

そんなときに拠り所となったのが牧ノ原さん。

ひらがなの「かえで」が残したノートを音読して、咲太の今までの努力を認識させる。

f:id:mikanketsu:20190104041921p:plain

内容をきくと、「かえで」は咲太がこうなることを先読みしていたのだね。

何も出来なかったからまた咲太後悔するだろう。そんなことさせまいと、自分なりに励まそうと、咲太の努力の証としてノートに「目標」を作った。

かえでは、恙(つつが)なく自分が消えるための準備をしていたのだ。

***

一晩明けて麻衣と咲太の電話。麻衣は、無理して取り繕う咲太を電話越しで察する。

そして麻衣は咲太のもとに駆けつけるが...

ここはなぁ~一番支えが必要な時期に支えになれなかった麻衣の自責の念と、それ以外の若干(ホントの若干)の感情が合わさった恋人ならではのすれ違いがイイね。

お互いにお互いのためなら行動力を発揮するのを厭わない。

良い関係じゃないか。育まれているのがわかる。

f:id:mikanketsu:20190104042139p:plain

***

花楓はかえでの残したノートを赤面しながら見ている。

咲太に諸々恐くないかと訊かれて、「私は独りじゃないもん」と答えた。

「独りじゃない」には色々含まれていて、寄り添ってくれる咲太の存在や、ノートを残した「かえで」の意志がある。

「かえで」が消えてしまっても、咲太が「花楓」とは違う「かえで」と過ごした時間は無駄にはならず、「かえで」の意志は繋がった。

非常に前向きな終わり方だ。

ブログを書いている者として、やはり文字という形に残しておくことには意味があると思う。

少なくとも「かえで」の計らいが報われるのは心が温かくなる終わり方だった。

f:id:mikanketsu:20190104042406p:plain

***

で、牧ノ原翔子の件はモヤモヤしたままだけど、最後の予告のようなカットを見る限りきっと映画で明らかになるのだろうなぁ...

まとめ

いつもは10作品弱を1ページにして圧縮&削除して纏めている分、今回の13話は多めに書いてしまった。

蓋をあけてみたら豊作な2018年秋で、本当に毎週楽しみにしていたので、ちょっと寂しさが残る。

それでも意味深に2期を匂わせるモノや、「青ブタ」のように映画へ持ち越すモノもあるし、当然2019年冬アニメも待っている。

今期も、良い作品との出会いをありがとう。