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【随筆】寒立馬

※この文章は、mikanketsuがブログを始めたものの一番最初に記事を投稿するのが恐くて、試験的に棚の奥底に眠っていた黒歴史作文をカタカタ打ち込んだだけのものです。

記念&戒めとして残しているに過ぎないので、率直に申し上げて他人から見たらつまらん内容だし恥ずかしいからこのページは見ないでください。お願いします!

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 今は昔のとある夏。八戸インターで東北自動車道をおり、一般道をひたすら進んでいく。はじめのうちは、久しぶりに顔合わせをした信号機にたびたび足止めをされていたが、十五分程で民家や店舗よりも樹木の数が多くなり、信号機は再び姿を消した。蛇がうねったような深緑の峠をいくつか越え、六ヶ所村を通り過ぎ、東通村へ入っていく。個人で経営していそうな佇まいの商店が集落に一つ二つあるばかりで、コンビニを見つけられればラッキーだ。

 

 私は寒立馬に会いに行く。青森県下北半島の角、尻屋崎。そこに寒立馬たちはいる。インターネットで写真を見てみると、競走馬のようなスラッとした姿とはまた異なり、ずんぐりとしていて可愛らしい。長めのたてがみや尻尾の毛もチャーミングであった。これは是非とも生で見なければならないという勝手な使命感が湧き、彼らに会いに行くことを決めた。

 

 北東へ更に進んでいくと、灰色、濃紺、そしてうす緑に隠れている気持ちばかりの土色の光景が、横を向くといつでも待ち構えるようになった。曇天の空。大男の握り拳のようにゴツゴツし存在を主張する岩。それに打ちつけられ絶え間なく轟き続ける波。そして潮風を浴びた、矮小だが確かな生命力のある雑草たち。普段私が生活している日本と、今私の目の前にある日本との違いは面白く、嬉しかった。これは、友人の色々な表情を知れた時の気持ちに似ている。

 

 私にとって非日常的な日本の光景の中に、寒立馬たちはいた。生で見ると、過酷な環境で生活しているためか脚に筋肉が付き太く、毛も潮でベトベトしている。眼は優しさと鋭さを兼ね備えているようであった。ただのカワイイという表現は用いづらく、愛らしさと凜々しさが同居している。

 

 写真や画像による印象とは大きく乖離していたが、残念なことは全くない。寒く、荒く、静かな場所で生活している彼らの威厳ある姿は、私に新しい世界をくれたように思う。今ではそこへ赴く途中の山にトンネルが通り、峠道を通る必要が当時よりはなくなったらしい。